1960〜1979年の演奏


パウル・クレツキ/南西ドイツ放送交響楽団
LP (コンサートホール SMS-2313)

 ベートーヴェン/交響曲第5番ハ短調Op67「運命」
  6:04/10:03/5:40/8:54
   (リピート無し:ワインガルトナー版)

  パウル・クレツキ指揮
   南西ドイツ放送交響楽団
   録音 1960年頃

 これは会員のための通信販売目的で製作されたレコードでした。録音は決して良いとはいえませんが、コンサート・ホール・ソサエティにはシューリヒト、ミュンシュ、モントゥー、ブーレーズ、マゼールなど名演奏がたくさんあります。この運命は入門用のレコードとしては十分聴けましょう。

 交響曲第5番の演奏は骨太といえるような感じのものです。第1楽章は厚みのある音でした。録音はステレオ効果の豊かなものですが、聴いているとミキシングの甘さがバランスをくずして、木管が大きな音になっています。録音さえ良ければ名演奏になるという見本のようです。さてホルンのファンファーレは力強く、好感のもてる演奏です。バランスさえよければ良ければ十分聞ける演奏です。
 第2楽章は弦よりも管が強い録音です。第2変奏では弦楽器ががんばっています。ティンパニもよく響いています。
 第3楽章はやや遅めのテンポながらもしっかりとした足取りで進みます。トリオのフーガはリズムをはっきりさせているのでぎこちなく感じられます。流れに乗りきっていないような感じです。
 フィナーレはバランスが悪く響きはいまいちでした。60年代の入門用としてはこれで良かったかもしれません。第1楽章に全精力を使い果たしたような演奏でした。ミキサーの腕が良ければもっと良い録音になっていたでしょう。
 なお、クレツキはチェコ・フィルで見事な全集を残しています。そちらの方が本来のクレツキのベートーヴェンです。


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