1950年代の演奏

ウィルヘルム・フルトヴェングラー/ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団(1950-1)



LP1(コロンビアOZ-7548-BS)7:56/10:36/5:46/8:00
LP2(コロンビアOZ-7585-BS)7:56/10:36/5:46/8:00
CD1(セヴンシーズ KICC2119)8:03/10:45/5:50/8:08
CD2(Archipel ARPCD0136)8:01/10:30/5:45/8:07

ベートーヴェン/交響曲第5番ハ短調Op67「運命」
 (第1楽章リピート:ワインガルトナー版)

 ウィルヘルム・フルトヴェングラー指揮
  ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団
 録音 1950年9月25日 ストックホルム・ライヴ

 この録音は発売当時、ウィーン・フィル初のライヴ録音として話題になったものです。LP1は珍しいシベリウスの「エン・サガ」とのカップリングで、同じ日の録音です。LP2は1953年のベルリン・フィルとの第8とのカップリングでした。これは没後30年記念の企画。CDはこの日のプログラムのもう1曲ハイドンの交響曲第94番とシベリウスの伝説が収録された貴重盤です。CD2には同じプログラムから「ドン・ファン」とハイドンの94番が収録されています。音質はこちらがいいです。拍手はカットされています。

 演奏はウィーン・フィルの力量をいかんなく発揮した名演奏です。交響曲第5番の第1楽章は47年のベルリン・フィル復帰演奏会とはまったく異なる解釈で、むしろ43年の演奏に近いかもしれません。冒頭のテーマではフェルマータをたっぷり伸ばしています。なんといってもウィンナホルンのファンファーレはたまりません。ティンパニはよく響いています。展開部もウィーン・フィルらしい音が聞かれます。ウィンナ・オーボエのチャーミングな音でカデンツァを演奏されるのもいいですね。再現部の全休符でフルトヴェングラーが指揮台を踏む音が聞こえます。コーダ最後のフェルマータのあとの間は長いです。
 第2楽章は歌の世界になっています。ウィーン・フィルの響きは弦も管も独特の響きがあります。この楽章もフルトヴェングラーの世界になっていました。音は古くても音楽は生き生きしています。木管四重奏はウラッハのクラリネットのあまい響きが魅力です。木管による第3変奏の8分音符はスタッカートしています。
 第3楽章は冒頭のリタルダンドをゆったりとかけています。つづくホルンの強奏が素晴らしい響きです。トリオのフーガもさすがに見事ですが壮絶という雰囲気はありません。終結部からフィナーレにかけてのところでうなり声が聞こえます。
 フィナーレはさすがに良い響きを出しています。展開部への盛り上げ方、そして展開部でのトロンボーンの強奏は凄いです。また第3楽章の回想ではウラッハのクラリネットがとても魅力的に響きます。再現部のアッチェルランドはここでも凄かったです。あまりの速さにオケが着いていけずアンサンブルが乱れるほどでした。そして金管のクレッシェンドやコーダに入ってからのテンポの速さに驚きます。またプレストが凄いので思わず鳥肌が立ってしまいました。最後にテンポを落として最後の最後にティンパニの一打をやってくれました。これは感動しました。


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