運命交響曲を聴く楽しみ

運命交響曲を知らない人はほとんどいないでしょう。でもこのCDやLPレコードを持っている人となると、ほんとに少なくなります。実際に聴いてみたら30分もかかる長い曲ですから好きな人じゃないととても聴いていられないでしょう。
この曲を初めて聴いた人で、初めて買ったクラシックのCDやレコード(LPのことです)が
運命交響曲の入っているものだったという人は今では少ないでしょうね。LP時代はカップリ
ングの曲はやはり標題のついたシューベルトの「未完成交響曲」が多かったものでした。
中にはこの曲だけなんてのもかなりありましたが・・・・・。現在はCDの時代であり、同じく
ベートーヴェンの交響曲がカップリングが多くなっています。
私がこの曲を知ったのは、高校の時に吹奏楽で第1楽章を演奏したからでした。練習は
速めのテンポで、1小節を1拍でやっていました。ところがいざ本番で指揮が先生に
代わったら、冒頭のフレーズを遅く始めたものですから、ズダダダダーンになってしまいまし
た。リピートしてからもみんな困ってまたズダダダダーンでした。後は練習通りでしたが、これ
が私と「運命交響曲」との運命的な出会いでした。
私がこの曲に興味を持ったのは音楽の授業でカラヤンのレコードを聞いて、その時の先生
の話に「運命はレコードが違うと演奏も違う」という話があり、それが耳について離れなかっ
たのです。テレビでカラヤンの演奏(1966年来日時)を見たり、サヴァリッシュとかマルケ
ヴィッチの指揮を見たら確かに違いました。
 LPレコードはカラヤン/フィルハーモニアで何度も何度も聞きました。60年代には17cm
のLPレコードがありました。その中にジョージ・セルとアンタル・ドラティのレコードもあり、これ
はすりきれるほど聴いたものです。レコードが少ないと同じ物を何度も聴くので曲はよく覚え
ました。しかも私はスコアを見ながら聴いていましたので変わり者ですね。
就職をしてから少しずつLPを集めていましたが、19歳でアマオケに入ってホルンを吹いてい
たときに、たまたま入った喫茶店がクラシックを聴かせていましたので、それがクラシックに
はまるきっかけでした。その店のレコードを聴きまくり、演奏の違いの面白さを知った私は
レコード屋さんに通い給料をほとんどつぎ込んでレコード集めをしました。
 丁度1970年ころは1000円のレコードや900円のレコードが発売されていましたので、
たくさんの曲が集まりました。運命も少しずつ増えて50種類ほど集まると、冒頭を聞けば誰
の指揮かがわかりました。でも今では多すぎてもうわかりません。古い録音でも特徴が無いと
判別できなくなりました。
「運命交響曲」を聴く楽しみは、まずジャケットから演奏時間を見て、テンポの速さを頭におい
て聴きますが、はたして冒頭はどんなに演奏してるのかが気になります。第1楽章はリピート
しているのか、楽譜はどれを使っているのか、第4楽章はリピートしているのかといったところが、20年前までの楽しみでした。
 ところがギュルケ版を使って第3楽章をリピートしたり、世紀末に登場したベーレンライター版は同じ楽譜でも演奏の内容に違いがあって、わからなくなってきました。
聴けば聴くほど、面白く、そして謎が多くなってきました。少しでもこれからCDを聴く方の参考
になればと思います。私のコメントは基本的に、その演奏のどこが良いかを考えながら聴い
ています。一度聴いてもわからない時は何度も聞きます。そのため、聞く人によっては少しも
感動しないCDは多いでしょう。実際に私も同じCDから受ける印象は、聴く時間と、聴く音によって変わってきますので、一概に判断できませんが、この魅力にあふれた曲を誰がどのような演奏をしているのか、少しでもわかればと思いこのホームページを開設しました。



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