1980〜1999年の演奏

マイケル・ティルソン・トーマス/イギリス室内管弦楽団(1980)

CD1(SONY SICC1201〜6)全集
CD2(CBS MDK45805)

ベートーヴェン/交響曲全集
CD1−3&CD2
1.交響曲第4番変ロ長調 Op60
2.交響曲第5番ハ短調 Op67「運命」
  7:44/9:40/4:48/10:58
 (第1楽章、第4楽章リピート:原典版)

 マイケル・ティルソン・トーマス指揮
 イギリス室内管弦楽団
 録音 1980年10月19&21日(1)
     1980年5月10&11日(2)

 マイケル・ティルソン・トーマスがイギリス室内管弦楽団を指揮して録音したベートーヴェンの交響曲全集です。(第3番だけがセント・ルークス管弦楽団)大きなオーケストラでなくても充分に演奏できることを示してくれました。その後多くの室内オーケストラが録音しています。
 交響曲第4番は第1楽章の序奏で良い響きを出しています。ファゴットもきれいに響きます。提示部の主題は厚い響きで素晴らしい演奏です。ファゴットの明るい響きも印象的です。展開部から再現部の響きは素晴らしい演奏です。第2楽章のアダージョはやや速めのテンポで良い演奏です。管楽器の響きもきれいです。後半も弦楽の響きの良さと聞く楽しさがあります。第3楽章のアレグロ・ヴィヴァーチェは弦楽と管楽器の対話のように演奏しています。これが素晴らしい演奏で、トリオも同じで、弦楽が応答するという面白さもあります。第4楽章のアレグロ・マ・ノン・トロッポは速めのテンポで演奏しています。弦楽のうまさがあります。オーボエとフルートの響きが大変きれいです。コーダの演奏が素晴らしいです。

 交響曲第5番「運命」の第1楽章は良いテンポで、弦楽の厚い響き、ホルンのファンファーレの良い響き、提示部の第2主題はきれいに響きます。展開部では弦楽の切れの良さ、管楽器の響きの良さ、ホルンも良い響きです。オーボエのカデンツァもきれいです。再現部のファンファーレはファゴットがきれいに響きます。コーダまでの厚い響きは見事なものです。第2楽章のアンダンテ・コン・モトはやや速めの演奏です。弦楽の主題の提示の美しさ、第1変奏と全合奏の響きの良さは、室内オーケストラとはいいながらも厚いです。第2変奏ではファゴットとクラリネットの良い響き、木管四重奏の美しい響き、全合奏に続く第3変奏は木管の美しい響きが聴かれます。第4変奏のファゴットがきれいに響きます。終結の全合奏は素晴らしい響きです。第3楽章は序奏に続くホルンの主題がきれいに歌われてます。フーガにおける弦楽の厚みのある演奏が聴かれます。フーガのあとの低弦のフレーズも見事な演奏です。フィナーレまでの経過部の緊張感も素晴らしいです。管楽器の響きもきれいです。フィナーレは堂々とした冒頭の演奏、ホルンも良い響きです。提示部のリピートがあります。展開部もよい響きです。第3楽章の回帰はオーボエの美しさ、再現部は整然とした演奏、そしてコーダのホルンの主題とピッコロの明るい響きが印象的です。プレストからの厚い響きも見事な演奏。フェルマータはしっかり伸ばしています。見事な演奏です。
 この録音は室内オーケストラでもベートーヴェンの交響曲は充分演奏できることを教えてくれました。(CD1は2009年発売の国内盤全集、CD2は1990年発売のアメリカ盤)


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