1950年代の演奏

ウィリアム・スタインバーグ/ピッツバーグ交響楽団(1954)
CD(EMI 7243 5 66553−2)

1.ベートーヴェン/交響曲第5番ハ短調Op67「運命」
  8:05/9:50/5:13/8:55(32分03秒)
   (第1楽章リピート:ワインガルトナー版)
2.ベートーヴェン/交響曲第6番ヘ長調Op68「田園」

  ウィリアム・スタインバーグ指揮
   ピッツバーグ交響楽団
  録音 1954年4月15&16日(1)
      1952年2月10日(2) 

 スタインバーグはコマンド・レーベルにベートーヴェンの交響曲全集をステレオ録音していますが、このアルバムはキャピトルにモノラル録音していたものです。他に8番も録音がありました。スタインバーグのベートーヴェンといえば速いテンポの演奏でおなじみでしたが、このモノラル録音は比較的に遅めのテンポで演奏しています。「運命」も「田園」も同様です。
 交響曲第5番「運命」はワインガルトナー版による演奏で第1楽章再現部ではファゴットのファンファーレにホルンを重ねています。第1楽章冒頭のフェルマータでは間をおかずに主題に入るところはステレオ録音と同じです。しかしながらどっしりとした重厚な演奏はこの時代の特徴でしょう。ホルンのファンファーレは素晴らしい響きを出しています。第2楽章は主題をたっぷりと歌っています。程良いテンポのアンダンテ・コン・モトです。第3楽章は流れるような序奏とホルンの主題がきれいです。第4楽章の演奏では後年の録音とは違って提示部のリピートはありません。コーダのホルンの主題が大変きれいです。プレストからの怒濤の演奏は見事でした。ホールの残響がきれいです。
 交響曲第6番「田園」の第1楽章序奏では穏やかで表現力豊かな演奏になっていますが、すぐにテンポアップしてきます。これがなんともいえません。田園らしい田園です。第2楽章「小川のほとりの情景」など大変気持ちのよい演奏です。第5楽章「牧人の歌、嵐のあとの喜ばしい感謝の気持ち」は楽しい気分になります。これは名盤といって良いでしょう。


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