2000年代の演奏

クラウディオ・アバド/ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団(2000)
CD(DGG UCCG 1003/7)

 ベートーヴェン/交響曲第5番ハ短調Op67「運命」
   7:07/9:07/7:48/10:37
 (第1楽章、第3楽章、第4楽章リピート:
            新ベーレンライター版)

  クラウディオ・アバド指揮
   ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団
   録音 2000年5月

 アバドが常任指揮者をつとめたベルリン・フィルとのこの全集は彼にとっては2回目の全集でした。ウィーン・フィルのときとは違い、最新のスコア(1999年のベーレンライター原典版)による演奏でした。
 交響曲第5番は速いテンポの第1楽章はベートーヴェンの指定した速度そのものです。颯爽とした提示部は60年代のカラヤンの演奏を思い出します。実にきめ細かな演奏です。展開部はあっというまに過ぎてしまいます。再現部のファンファーレはファゴット、それからが見事な演奏です。ティンパニが生きています。
 第2楽章はのアンダンテは速いように思いますが、これくらいが良いのでしょう。しかしながらこの主題はもっと歌っても良いように思います(ドルチェです)。木管楽器は名手揃いです。四重奏は大変美しい響きです。それにしても全合奏の響きはベルリン・フィル独特です。
 第3楽章は序奏のあとのホルンの強奏が素晴らしいです。速いテンポのフーガはさすがにベルリン・フィルです。とにかくうまいです。リピートしても変わりません。
 第4楽章は大変重厚な響きを出しています。木管による第2主題もきれいです。提示部のリピートはまたしてもうまさを見せつけてくれます。管と弦の絶妙なバランスがにくいです。展開部のフルートがまたたまりません。再現部においても各楽器が明瞭に聞こえる録音の素晴らしさが花を添えてくれます。コーダのホルンの主題がにくいまでの弱音でした。プレストに入って、382小節から385小節のヴァイオリンとヴィオラのりズムの刻みが鮮やかです。圧倒的な結尾です。感動の余韻が残ります。
 全体として緊張感の少ない演奏ですが、終わってみれば満足感のある演奏でした。


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