1930年代の演奏

フェリックス・ワインガルトナー/ロンドン・フィルハーモニー管弦楽団(1933)

CD1(EMI新星堂 SGR−8524)
 ベートーヴェン/交響曲第5番ハ短調Op67「運命」
    7:52/9:45/5:10/8:45
    (第1楽章リピート:ワインガルトナー版)
CD2(NAXOS 8.110913)
 ベートーヴェン/交響曲第5番ハ短調Op67「運命」
    8:00/9:56/5:15/8:51
    (第1楽章リピート:ワインガルトナー版)

 フェリックス・ワインガルトナー指揮
  ロンドン・フィルハーモニー管弦楽団
  録音 1933年1月31日&2月2日

 ワインガルトナーの4度目の録音で、彼の代表盤です。LP時代に全集を買っていましたが、手放していました。CD1は新星堂のワインガルトナー大全集ですが、復刻がややピッチが高いです。CD2のNAXOS盤はピッチがあっていますので、こちらがお勧めです。
 交響曲第5番第1楽章のきびきびした冒頭とたっぷり伸ばすフェルマータはこの時代の特徴的な演奏です。第2主題はやはりポルタメントをかけています。展開部は実に緊張感のある演奏でした。再現部も密度の濃い演奏で見事でした。コーダの運命の動機はたっぷりと強調しています。
 第2楽章は32年盤とは異なり、テンポの変化はほとんどありません。録音も良くて木管がとても美しく、四重奏は絶品です。ただこれは全体としてそうですが、ティンパニの音がほとんど聞こえないので物足りません。演奏は均整がとれています。
 第3楽章は32年盤とほぼ同じような演奏で、ホルンも良い響きです。トリオのフーガは鮮やかな演奏です。フィナーレ前の緊張感は素晴らしいものでここではティンパニが重々しく聞こえます。
 フィナーレは見事です。アンサンブルがよくバランスのとれた響きを聴かせています。第3楽章の回想もきれいで、オーボエが美しい響を聞かせています。再現部からコーダも素晴らしく、最後は感動的でした。それにしても、やはりティンパニの音が響かないと音に厚みが足りないので物足りなさを感じます。


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