モーツァルト/ホルン協奏曲

3番/マックス・ツィモロング(1940)
CD(WANER CLASSICS 0190295886721/1)

モーツァルト/作品集
1.ヴァイオリン協奏曲第5番イ長調K219
2.ホルン協奏曲第3番変ホ長調K447
3.セレナード第13番ト長調K525
   「アイネ・クライネ・ナハトムジーク」
4.歌劇「後宮からの逃走」序曲K384
5.歌劇「フィガロの結婚」序曲K492
6.ベートーヴェン/レオノーレ序曲第3番Op72b 

 ヤン・ダーメン(ヴァイオリン)(1)
 マックス・ツィモロング(ホルン)(2)
 カール・ベーム指揮
 ドレスデン・シュターツカペレ
 録音 1938年(1、3&6)
     1939年(4&5)
     1940年(2)

 カール・ベームのEMIスタジオレコーディング集大成19枚セットの中の1枚です。戦前にザクセン交響楽団(ドレスデン・シュターツカペレ)を指揮した中の1枚です。
 モーツァルトのヴァイオリン協奏曲第5番はヤン・ダーメンのヴァイオリン・ソロです。時代を感じさせるポルタメントが時折聞かれます。この当時の録音としてはかなりよい状態の復刻です。
 ホルン協奏曲第3番はマックス・ツィモロングのホルン独奏です。この時代にはまだオーブリー・ブレインの録音しかありませんでしたから大変貴重な録音です。ベームはモーツァルトのホルン協奏曲の録音が1978年のヘーグナーまでありませんから珍しい録音になりますが、モーツァルトの得意なベームならではのオーケストラ・サポートです。カデンツァが見事なもので後年のペンツェルなどにも影響を与えたと思われます。なおカデンツァの前半はオーブリーのカデンツァ(マリオン・ブレイン作)と同じですが、後半はまったく違います。第2楽章はしっかり音を出すもので現代の演奏とは違いますが演奏自体難しいホルン協奏曲の録音がない時代ですから先駆者の強みです。第3楽章のアレグロは速いテンポで見事な演奏です。この楽章をこれほど速く演奏するホルン奏者は少ないですから驚きます。素晴らしい演奏です。
 セレナード第13番ト長調K525「アイネ・クライネ・ナハトムジーク」はベームが何度となく演奏した作品です。ウィーン・フィルやベルリン・フィルと変わりないモーツァルトの響きが聞かれます。蓄音機から流れてくる音楽ですからこれはたまらないです。
 歌劇「後宮からの逃走」序曲は打楽器が入って賑やかな序曲ですから蓄音機で聞くには良い曲です。「フィガロの結婚」序曲も5分以内に収まりますのでSPレコード向きの作品です。ベームはさすがに素晴らしい統率力です。
 ベートーヴェンの「レオノーレ序曲第3番」は1938年の録音ですから戦前の昭和13年の録音ということになります。録音も大変だった時代でしょうから、これだけ良い演奏が残されたことは素晴らしいことです。古い録音とはいえ聞こえてくる音楽は緊張感のあるベートーヴェンです。SP録音だからこそひずみのない音で聴かれるものです。


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