1929年までの演奏

フェリックス・ワインガルトナー/ロンドン交響楽団
CD(EMI新星堂 SGR−8526)

ベートーヴェン/交響曲第5番ハ短調Op67「運命」
   8:31/9:02/5:22/8:52
   (第1楽章リピート:ワインガルトナー版)

 フェリックス・ワインガルトナー/ロンドン交響楽団
 録音 1924年11月6、7日&1925年3月13日

 この録音はワインガルトナーの「運命」初録音でした。録音が年を越えていますが、原盤のデータを見ましたら2楽章の前半だけが25年でしたので録音は11月6日と7日に終わったものの、発売には不満があって2楽章の前半を録音し直したようです。それもテイク3を使っていましたので、この変奏曲の録音は大変だったことがうかがえます。なおワインガルトナーはこれより前1923年に第7番と第8番を録音しており、これも復刻されています。
 交響曲第5番の演奏は録音がアークスティック録音なのでスクラッチノイズが大きく、その奥から聞える音楽を聴くので、まさに蓄音機で聴いている状態でした。
 特徴的なのが第1楽章冒頭のフェルマータの長さです。1拍の6倍でした。1小節タイで結ばれた方は結局8拍になりとても長いです。ワインガルトナーも第2主題にはポルタメントをかけています。音は貧しいですが楽器の音ははっきりと聞えますので聴きにくいことはありません。
 第2楽章は25年の録音ですがまだ電気録音でありませんので音質は同じでした。主題にはさすがにポルタメントを多用していました。第3楽章の冒頭のフェルマータは1楽章ほど伸ばしてはいませんでした。フーガはなかなかのものでした。第4楽章はさすがにロンドン交響楽団の能力発揮でした。狭いスタジオで大変だったろうと思いますがまさに歴史に残る演奏でした。


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