シューマン/アダージョとアレグロ

エドモン・ルロワール(1957)
CD(DECCA 480 0078)2枚組
 
シューマン/交響曲、協奏曲作品集
CD1
1.交響曲第1番変ロ長調Op38「春」
2.交響曲第2番ハ長調Op61
CD2
3.ピアノ協奏曲イ短調Op54
4.チェロ協奏曲イ短調Op128
5.アダージョとアレグロ変イ長調Op70(アンセルメ編)
6.「マンフレッド」序曲Op115

  ディヌ・リパッティ(ピアノ)(3)
  モーリス・ジャンドロン(チェロ)(4)
  エドモン・ルロワール(ホルン)(5)
  エルネスト・アンセルメ指揮
   スイス・ロマンド管弦楽団
 録音 1951年3月(1)モノラル
     1965年4月(2&6)ステレオ
     1950年2月ライヴ(3)モノラル
     1953年11月(4)モノラル
     1957年11月(5)ステレオ

 アンセルメのシューマン作品集です。この中にはリパッティとの貴重なライヴや待望の初CD化になるルロワールがホルンを吹くアダージョとアレグロが収録されています。
 アンセルメは交響曲を2曲だけ録音していました。第1番「春」は1951年のモノラル録音が唯一のもので、録音は古くてもスイス・ロマンドの統率された演奏は見事な響きを出しています。第2番は1965年のステレオ録音で冒頭から瑞々しい音が聞かれます。この演奏はフランス系のオーケストラがドイツ音楽を見事に演奏したものとして記憶に残したい名演です。なおアンセルメはこの2番をベルリン・フィルともライヴ録音していました。
 ピアノ協奏曲を演奏しているリパッティはルーマニア出身の名ピアニストで1950年に33歳の若さで亡くなっています。1943年からははジュネーヴに移り活動していました。このピアノ協奏曲は最晩年の1950年の演奏ですが、病弱という印象はなくまさに名演です。
 ジャンドロンの弾くチェロ協奏曲は1953年のモノラル録音ですが音質は良好です。ジャンドロン34歳の時の力強い演奏はチェロの生々しい響きが伝わってきます。また当時はまだまだこの協奏曲の録音は少なかったですから貴重な録音でした。
 「アダージョとアレグロ」はホルンとピアノのための作品ですが、アンセルメはルロワールのためにオーケストレーションを施しました。この編曲は現在も重宝されていて他には編曲がありません。ルロワールの録音は伝説の録音でしたが2009年にCD化されてようやく聞かれるようになりました。本家アンセルメによる指揮で聞く「アダージョとアレグロ」はなんとも言えません。ルロワールのホルンがオーケストラに負けないように吹く様子が目に浮かぶようです。なおルロワールはたくさんの作品をホルンのために編曲したり、楽譜の校訂を行っていましたが、この「アダージョとアレグロ」が唯一のソロ録音でした。
 「マンフレッド」序曲は交響曲第2番と同時に録音されたもので勢いのある演奏は目を見張ります。


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