1930年代の演奏
ウィレム・メンゲルベルク/アムステルダム・コンセルトヘボウ管弦楽団(1937) |
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CD1(オーパス蔵 OPK2014)
7:51/9:03/5:06/8:22
CD2(テレフンケン WPCS-10349)
7:52/9:04/5:06/8:24
CD3(テレフンケン 4509-95515-2)
7:44/9:10/5:12/8:40
LP(テレフンケン MZ5101)
7:43/9:06/5:11/8:36
ベートーヴェン/交響曲第5番ハ短調Op67「運命」
(第1楽章リピート:メンゲルベルク版)
ウィレム・メンゲルベルク指揮
アムステルダム・コンセルトヘボウ管弦楽団
録音 1937年5月4日
メンゲルベルクといえばなんとなく古臭い演奏のような印象を受けますが、それはSPからの復刻技術があまり良くなかったせいです。オーパス蔵の復刻を聴いてびっくりしました。
(この4つの音源のうちCD3の4509-95515-2とLPのMZ5101は1942年4月15日の別録音ということが判明しました。いままでは音の違いを別テイクか復刻の違いと思っていましたので一緒に並べてあります。42年盤は別にコメントしています)
交響曲第5番は冒頭から今までのメンゲルベルクのこのレコードのイメージが完全にくつがえされます。これが同じ録音かと信じられないうちにドドドドンとティンパニが鳴り響きます。いまだかってこんな音はきいたことがありません。ごっつい音だったはずが、勢いのある緊張感にみちた演奏になっていました。ホルンの響きも明るく見事です。テーマの強調も巧みです。これは気分爽快の演奏です。再現部のファゴットのファンファーレはホルンで転用、そして440小節から452小節までの木管のフレーズにホルンを重ねて強調していました。これは他では聴かれない独自のアレンジです。
第2楽章の流れるような変奏曲は素晴らしい演奏でした。木管四重奏もいうことありません。第3楽章で一箇所楽譜にない音が聞えます。90〜93小節からのオーボエとヴィオラのsfにホルンを重ねて強調していました。ストコフスキーは38〜41小節にトランペットを重ねていましたが、そこは手をつけていませんでした。トリオのフーガは凄まじいまでの勢いがあります。鳥肌が立ちそうでした。第4楽章もご機嫌です。これはあっというまに終わってしまう超のつく名演です。
これは運命を聴く面白さ、楽しさ、演奏の難しさがつまっています。ここではメンゲルベルク独特のテンポの変化がほとんどありません。ですから素直に聞けます。いつのまにか聞きほれてしまい、気がつくと終わっているという理想的な演奏です。
今までLPで聞いていたのは1937年の録音ではなかったのでした。SPは間違いなく1937年のを聴いていたのでしょう。どういうわけで別録音が復刻されて1937年の録音として出回ったのでしょうか。しかも本家TELDECが間違えているとは情けないですね。日本盤CDはまちがいなく1937年の録音です。LPは違いました。こんなこともあるのですね。 |
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