1930年代の演奏

ヘルマン・アーベントロート/ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団(1937)

CD1(EMI新星堂 SGR7160-61)
 ベートーヴェン/交響曲第5番ハ短調Op67「運命」
    6:05/10:09/5:01/7:59
    (リピート無し:ワインガルトナー版)
CD2(VIRTUOSO 70003)
 ベートーヴェン/交響曲第5番ハ短調Op67「運命」
    6:05/10:08/5:01/7:56
    (リピート無し:ワインガルトナー版)

 ヘルマン・アーベントロート指揮
   ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団
   録音 1937年11月22日

 アーベントロートの「運命」は同じ1937年11月3日にフルトヴェングラーが録音したエレクトローラに対抗してオデオンにナチの肝いりで録音したものでした。
 交響曲第5番の第1楽章はしっかりと運命の主題を強調したものです。弦の刻みはきびきびとしています。それに対し第2主題はポルタメントをかけてなめらかに演奏していました。展開部では弦と管の対話で少しテンポを落としています。再現部では弦のレガートがこれまたきれいです。メリハリのはっきりした演奏です。コーダでは運命の主題をしっかり強調しています。
 第2楽章は穏やかな主題がきれいです。管楽器も美しく、申し分ありません。第3楽章は序奏のあとでホルンがテンポアップで主題を吹いています。フーガはアウフタクトで強調してからテンポアップという面白い技を披露しています。
 第4楽章はやや速めのテンポで進みます。提示部でホルンと木管のファンファーレで音を引っ張る難しい技が印象的です。再現部でも同じでした。コーダの盛り上がりは抜群です。歓喜の歌が大きく響きます。プレストは一気に終結まで歌い上げていました。

 アーベントロートはライプツィヒ放送交響楽団と独特の解釈の演奏を繰り広げていますが、その片鱗がこの演奏でも聞かれます。音質はどちらもほぼ同じですが、CD2が少しレベルが高いです。またCD2はトラック3が第4楽章の提示部に32秒ほど入り込んでいます。CD1はトラック4が第4楽章になっています。上記演奏時間は実測の演奏時間です。


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