1930年代の演奏

アルトゥーロ・トスカニーニ/NBC交響楽団(1939−1)



CD1(オーパス蔵 OPK-2046)7:11/9:35/5:05/8:57
CD2(BMG 09026-60270)7:15/9:41/5:09/9:01
CD3(RCA BVCC-38246)7:15/9:40/5:08/9:00
LP(RCA VRA-2007)  7:12/9:36/14:04

 ベートーヴェン/交響曲第5番ハ短調Op67「運命」
  (第1楽章リピート:トスカニーニ版)

 アルトゥーロ・トスカニーニ/NBC交響楽団
  録音 1939年2月27日&3月1&29日

 トスカニーニがNBC交響楽団と初めてSP用に録音した演奏です。残響の少ない8Hスタジオで録音していますので、独特の響きの演奏です。トスカニーニの運命の代表的な録音です。インテンポで速いテンポの演奏はワルター、ワインガルトナー、フルトヴェングラー、メンゲルベルク時代に大変人気がありました。私はLPで未完成とのカップリングで初めて聴きました。
 交響曲第5番の演奏は第1楽章冒頭から速いテンポで緊張感があります。第2主題もテンポは変わらず一気に展開部にすすんでいます。弦と管の対話でほっとさせてまた強烈な響きがあります。再現部のファンファーレはホルンです。363小節から368小節で木管楽器の音型にホルンを重ねています。ここは1938年と同様です。ティンパニの活躍はさすがです。しかしながらここでは押さえのきいた演奏です。
 第2楽章は主題をオペラ指揮者トスカニーニらしく見事に歌わせています。弱音の弦楽器はきれいです。木管楽器の美しさはいうまでもありません。ただ、第2変奏のあとの木管四重奏は残響が足りないだけに音の溶け合いに物足りなさがあります。
 第3楽章の序奏はリタルダンドと長いフェルマータ、そしてホルンの主題の前の「間」がたまりません。これだけたっぷり間を置く指揮者はほとんどいないでしょう。ここはトスカニーニもこだわりがあるようです。ホルンの主題は明るいです。フーガは見事です。アンサンブルはうますぎます。
 第4楽章はクレッシェンドから一気に強烈な響きに突入しています。ホルンと木管のファンファーレも十分です。展開部ではティンパニがよく響いています。再現部もそうですが堂々としてたっぷり響かせているのが1938年盤との違いです。コーダのホルンの主題は大変きれいです。プレストからの緊張感は凄いです。最後のフェルマータはティンパニの一打で終わっています。
 この録音は全曲31分ほどかけています。第2楽章と第4楽章で時間をかけています。そのためこの曲をじっくり聴くことができました。さわやかな満足感があります。

 CDはオーパス盤が若干低音がよく響きます。LPも十分楽しめました。


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