1930年代の演奏

ウィルヘルム・フルトヴェングラー/ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団(1939)
CD(TAHRA FURT1014-1015) 

 ベートーヴェン/交響曲第5番ハ短調Op67「運命」
   7:41/10:07/5:34/8:04
   (第1楽章リピート:ワインガルトナー版)

 ウィルヘルム・フルトヴェングラー指揮
   ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団
   録音 1939年9月13日

 この録音は1997年になって初めて世に出た幻の録音でした。私も驚きましたが、SP8面のうち第7面を紛失ということで陽の目を見るのが遅れたのでしょう。紛失部分は1937年の録音を使ってつないであります。

 交響曲第5番の演奏は1937年の録音に近いもので、第1楽章は速めのテンポで進みます。ホルンのファンファーレは見事な強奏です。逆に第2主題のクラリネットが弱くて聞こえないほどでした。展開部は熱気あふれる演奏で、再現部もよく響いてます。気になるのはSP録音とはいえ、オーボエソロが小さいことでした。
 第2楽章は冒頭弦が弱すぎて聞き取りにくいです。この楽章はピアニシモとフォルティシモが交互にきますので演奏はスコア通りです。それが極端なのがこの録音でしょう。
 第3楽章は軽いリタルダンドのあとにホルンの強奏が印象的です。ここでもピアニシモからクレッシェンドでフォルティシモへ持っていく迫力は凄いです。
 第4楽章冒頭はアンサンブルに若干の乱れがありますが、その後は見事でした。この演奏は強弱を極端に演奏した特徴的なものです。コーダも素晴らしい盛り上げ方で圧倒してくれます。

 フルトヴェングラーの「運命」としては有名ではありませんが、ひとつの記録として忘れたくない演奏です。


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