1980〜1999年の演奏

ウォルフガング・サヴァリッシュ/NHK交響楽団(1982)

CD1(ERATO 0630-12804-2) 
CD2(RCA 60534-2RV) 
CD1
1.ベートーヴェン/交響曲第5番ハ短調Op67「運命」
           (第1楽章リピート:原典版)
2.   〃   /交響曲第6番ヘ長調Op68「田園」

  ウォルフガング・サヴァリッシュ指揮
     NHK交響楽団(1)
  テオドール・グシュルバウアー指揮
    ニュー・フィルハーモニア管弦楽団(2)
  録音 1982年5月7&8日(1)
      1974年(2)
CD2
.ベートーヴェン/交響曲第5番ハ短調Op67「運命」
           (第1楽章リピート:原典版)
2.   〃    /交響曲第8番ヘ長調Op93
3.   〃    /序曲「コリオラン」Op62

  ウォルフガング・サヴァリッシュ指揮
     NHK交響楽団(1&2)
  フリッツ・ライナー指揮
   シカゴ交響楽団(3)
  録音 1982年5月7&8日(1&2)
      1959年5月5日(3)

 CD1の交響曲第5番「運命」はサヴァリッシュがRCAにN響とスタジオ録音した音源と同一音源です。速めのテンポでぐいぐい進む演奏です。第1楽章冒頭は弦楽がレガート気味に滑らかに演奏します。ホルンの力強いファンファーレは実に素晴らしい響きです。展開部も素晴らしい響きです。特に弦楽の厚みのある響きは驚きです。ティンパニも良い響き、オーボエのカデンツァもきれいです。再現部のファゴットのファンファーレはファゴットによる原典版です。コーダまでの緊張感は素晴らしいものです。第2楽章はやや遅めのテンポで主題を丁寧に歌っています。ここも弦楽の美しさがあります。第1変奏の良い響き、全合奏の厚い響き、第2変奏においても同様で、素晴らしい響きが聴かれます。木管四重奏からのクライマックスも聴きものです。木管の第3変奏もきれいな響きで驚きです。そしてコーダも感動的な演奏です第3楽章は序奏に続くホルンの明るい響きが素晴らしい。この楽章の厚い響き、フーガの力強い弦楽の素晴らしさ、ここはサヴァリッシュの解釈の素晴らしさがあります。フィナーレはドイツ的な重厚な響きで厚みのある演奏です。提示部の厚い響き、展開部の響きの良さ、再現部の緻密な演奏と感動的な演奏が続きます。コーダのホルンの主題とピッコロの響き、ここは聴きどころです。プレストから終結までの緊張感は圧倒的です。超名演です。
 グシュルバウアー指揮の交響曲第6番「田園」は彼の数少ないベートーヴェンの1曲と思われます。ウィーン生まれ、ウィーン音楽院で学び指揮はスワロフスキー、カラヤン、マタチッチ、シュルヘンに学んだ彼の「田園」はウィーンの「田園」を表現できる指揮者でしょう。このニュー・フィルハーモニアを振った「田園」はウィーンのオーケストラの演奏のように流麗できれいな演奏でです。第3楽章や第5楽章のホルン・ソロは理想的な演奏です。隠れた名演といえましょう。
 サヴァリッシュの交響曲第8番は第1楽章の弦楽の華やかさが聴きものです。深みのある響き、木管のユニゾーンもきれいです。展開部から再現部の厚い響きには圧倒されます。第2楽章のスケルツァンドはメトロノームのようなリズムを刻むのが特徴です。快適なテンポで演奏しています。弦楽の緻密な演奏はここも素晴らしいものです。第3楽章のメヌエットは大変良い響きでファゴットの響きもきれいです。トリオのホルンの二重奏の流麗な演奏とクラリネットの響きの美しさは素晴らしい響きです。このメヌエットの聴きどころです。第4楽章はアレグロ・ヴィヴァーチェ、弦楽の刻みの素晴らしい響きと、勢いのある演奏が素晴らしい。強弱の付け方はサヴァリッシュのベートーヴェンのうまさです。この第8番も感動的で大変な名演奏です。
 序曲「コリオラン」はライナーの指揮でシカゴ交響楽団の演奏です。冒頭の和音は切れの良い演奏です。主部の緊張感のある演奏はさすがに素晴らしいものです。中間部の弦楽の刻み、管楽器の響きと勢いのある演奏は巨匠ライナーの引き出す素晴らしい演奏です。コーダの緊張感は凄いです。


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