1980〜1999年の演奏

クラウディオ・アバド/ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団(1987)

CD1(DGG 437 002-2)
CD2(DGG F00G 20449/54)全集
CD1
1.ベートーヴェン/交響曲第5番ハ短調Op67「運命」
   7:50/10:05/5:25/11:00
   (第1楽章、第4楽章リピート:原典版)
2.ベートーヴェン/序曲「レオノーレ」第2番Op72a
3.  〃   /劇音楽「エグモント」序曲Op84

  クラウディオ・アバド指揮
   ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団
  録音 1987年10月
    ムジーク・フェラインザール

 アバドがウィーン・フィルと録音したベートーヴェンの交響曲全集の中の1枚です。
 交響曲第5番「運命」は第1楽章冒頭の重厚な響きが素晴らしく、ウィーン・フィルのベートーヴェンらしいです。ホルンのファンファーレも素晴らしい響きです。展開部の流れも素晴らしく、透明感のある弦の美しさ、管楽器の美しさがあります。再現部ではファゴットのファンファーレを原典版のとおり吹いています。コーダではフェルマータをたっぷりのばしています。第2楽章は程よいテンポで主題を表情豊かに歌っています。木管は大変良い響きを出しています。第1変奏の美しい響き、そしてフルートの響きがきれいです。第2変奏の盛りあがりの美しさ、木管四重奏の美しさはウィーン・フィルらしいです。第3変奏の木管の良い響き、続くクライマックスも聴きもの。第3楽章は序奏の弦楽に続くウィンナホルンの主題が力強く素晴らしい響きです。フーガの演奏は弦の見事な演奏があります。さすがにウィーン・フィルの演奏は迫力があります。後半の弱奏からフィナーレまでは緊張感もあります。フィナーレの冒頭は堂々とした演奏で大変厚い響きを出しています。ウィンナホルンの厚い響きも聴きもの。提示部のリピートがあります。展開部では管楽器の響きもよく、弦楽とのバランスの良さ、感動的な演奏です。第3楽章の回想の弦の響きオーボエの美しさもたまりません。再現部も重厚な演奏です。コーダの和音とホルンの主題は実にきれいです。ピッコロの響きもまたきれいです。プレストからは圧倒的な演奏でした。最後のフェルマータの長さが素晴しい。完璧な演奏でした。感動します。
 序曲「レオノーレ」第2番は第3番とほぼ同じですが、ところどころの違いがあります。このウィーン・フィルの演奏は素晴らしいものです。ステージ裏から響くトランペットのファンファーレの違いはわかります。コーダの厚い響きは素晴らしいものです。
 「エグモント」序曲はウィーン・フィルの壮大な響きの演奏が圧倒的で、主部は緊張感があり、終結の圧倒的な響きはこれぞエグモントという名演です。
(CD1はドイツ盤、CD2は1989年発売の国内盤全集)


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