1960〜1979年の演奏


ジョージ・セル/クリーヴランド管弦楽団(1966)
CD−R(ILLUMINATION ill-Sze−20/1)2枚組

ジョージ・セル/ベートーヴェン・ライヴ
1.ピアノ協奏曲第5番変ホ長調Op73「皇帝」
2.交響曲第5番ハ短調Op67「運命」
   (7:09/9:51/5:19/8:35)
   (第1楽章リピート:ワインガルトナー版)
3.交響曲第6番ヘ長調Op68「田園」
4.「エグモント」序曲Op84
5.「シュテファン王」序曲Op117

  クリフォード・カーゾン(ピアノ)(1)
  ジョージ・セル指揮
   クリーヴランド管弦楽団
   1967年1月26日ライヴ録音(1)
   1966年9月22日ライヴ録音(2)
   1970年1月22日ライヴ録音(3&5)
   1968年1月11日ライヴ録音(4)

 このアルバムはセルがクリーヴランド管弦楽団を指揮したベートーヴェンのライヴです。「運命」と「田園」のライヴを聴けるのはこれだけです。最晩年の「田園」は大変貴重な録音です。
 カーゾンをソリストに迎えた「皇帝」は気迫に満ちた巨匠同士のぶつかり合いともいえる名演です。この演奏では首席ホルンのマイロン・ブルームがやわらかさと厳しさを吹き分けていて大変興味深いです。
 交響曲第5番「運命」は1966年9月22日のライヴです。63年のスタジオ録音とほぼ同じような解釈といって良いでしょう。第1楽章冒頭は弦楽セクションの厚みのある響きが素晴らしく、またホルンのファンファーレのsf(スフォルツァンド)のパワーに驚きます。これがセルの「運命」です。展開部冒頭もホルンの音が炸裂します。それにしてもクリーヴランドの弦楽セクションはまったく乱れもなく驚きのアンサンブルです。オーボエのカデンツァはまさにアダージョです。再現部でファゴットのファンファーレをホルンがバリバリ吹いています。コーダはほとんどテンポの変化無しに終わります。
 第2楽章の主題の歌わせ方は素晴らしいものがあります。第2変奏の弦楽はまさに室内楽のように息のピッタリあった演奏です。木管四重奏の響きもいうことありません。第3楽章のホルンの主題は力みのないきれいな音で素晴らしい。フーガの演奏は速いテンポでまったく乱れのない見事な演奏です。フィナーレはやや速めのテンポでグイグイ進みます。オーケストラの腕の見せ所です。厚みのある低弦、ホルンの主題の音量も抜群。展開部の流れも素晴らしいものになっています。管楽器の響きが素晴らしい。第3楽章の回帰はテンポを落として入ります。再現部の厚い響きも凄いです。コーダのホルンの主題もきれいです。プレストからの演奏も圧倒的で、速いテンポで一気に進みます。最後のフェルマータまで息もつけないほどの緊張感があります。最後にティンパニの一打があります。
 交響曲第6番「田園」はセルの厳しい棒裁きの中にも温かさを感じさせる名演です。第2楽章「小川のほとりの情景」では木管の解け合う音色の絶妙さが聞き物です。第3楽章ではオーボエ、クラリネット、ホルンと続く主題がきれいです。第5楽章のホルン・ソロが素晴らしい響きになっています。
 2つの序曲はスタジオ録音同様素晴らしい演奏です。中でも「シュテファン王」はライヴとは思えない隙のない演奏です。


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