1960〜1979年の演奏


ジョージ・セル/ロイヤル・コンセルトヘボウ管弦楽団(1966)
CD(PHILIPS 442 727−2)2枚組ドイツ盤

ジョージ・セル/名演集
CD1
1.シューベルト/「ロザムンデ」の音楽D644
   序曲、バレエ音楽第2番、間奏曲第3番&1番
2.メンデルスゾーン/劇音楽「真夏の夜の夢」
   序曲、スケルツォ、夜想曲、結婚行進曲
3.モーツァルト/交響曲第34番ハ長調K388
    第1楽章&第2楽章
CD2
1.モーツァルト/交響曲第34番ハ長調K388
    第3楽章:フィナーレ
2.ベートーヴェン/交響曲第5番ハ短調Op67「運命」
    (7:28/10:07/5:34/8:40)
    (第1楽章リピート:ワインガルトナー版) 
3.シベリウス/交響曲第2番ニ長調Op43

  ジョージ・セル指揮
   ロイヤル・コンセルトヘボウ管弦楽団
  録音 1957年12月(シューベルト&メンデルスゾーン)
      1966年12月(モーツァルト)
      1966年11月28〜30日(運命)
      1964年11月(シベリウス)

 このアルバムはセルがコンセルトヘボウを指揮した貴重な録音です。「ロザムンデ」と「真夏の夜の夢」の組曲はクリーヴランド管弦楽団とも録音がありました。どちらも申し分ない名演です。
 モーツァルトの交響曲はクリーヴランド管弦楽団ともいくつかの名演を残していました。この34番は特にフィナーレが後期の作品のような出来映えの見事な響きでした。
 ベートーヴェンの交響曲第5番「運命」はクリーヴランドのスタジオ録音から3年、いくつかのライヴ録音同様演奏スタイルは似ていますが、コンセルトヘボウの響きはホールの良さもあって奥深い響きが素晴らしい演奏を生み出しています。第1楽章冒頭の速いテンポ、短めのフェルマータ、ホルンのファンファーレの強奏などセルの指揮は変わらぬうまさがあります。弦の厚み、管楽器の響きも素晴らしい。展開部の弦と管の掛け合いもきれいです。再現部のファゴットのファンファーレはホルンが吹いています。終結までの緊張感あふれる演奏はたまりません。第2楽章は程良いテンポで主題を歌います。経過部の管楽器の強奏が見事です。第2変奏でファゴットとクラリネットの合いの手が大変良く響いています。木管四重奏におけるフルートの柔らかな響きは聞き逃せません。第3楽章は軽いリタルダンド、ホルンの主題ときれいな響きを出しています。フーガの演奏は速いテンポでまったく乱れのない見事な演奏です。フィナーレはやや速めのテンポでグイグイ進みます。厚みのある響きで、ホルンの主題の音量も見事です。展開部の流れも素晴らしいものになっています。管楽器の強奏が素晴らしい。第3楽章の回帰はオーボエがきれいです。再現部の厚い響きも凄いです。コーダのホルンの主題もきれいです。プレストからの演奏も圧倒的で、速いテンポで一気に進みます。最後のフェルマータまで息もつけないほどの緊張感があります。圧倒されます。
 シベリウスの交響曲第2番は1970年の来日時の名演が記憶に残っていますが、このコンセルトヘボウの演奏はシベリウスの響きを見事に引き出した名演といえるでしょう。当時はまだこの曲の録音が少ない時代でしたがセルの演奏は改めて聴いても素晴らしいものです。


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