1960〜1979年の演奏


レオポルド・ストコフスキー/アメリカ交響楽団(1968)
CD(MEMORIES HR4495/97)3枚組

1.ムソルグスキー/交響組曲「ボリス・ゴドゥノフ」
2.ワーグナー/交響組曲「トリスタンとイゾルデ」
       (ストコフスキー編)
3.ベートーヴェン/交響曲第5番ハ短調Op67「運命」
   6:09/10:02/5:31/7:45(29分27秒)
       (リピート無し:ストコフスキー版)
4.    〃   /交響曲第7番イ長調Op92
5.マーラー/交響曲第2番ハ短調「復活」

  レオポルド・ストコフスキー指揮
   ボストン交響楽団(1&4)
   アメリカ交響楽団(2&3)
   フィラデルフィア管弦楽団(5)
   ヴェロニカ・タイラー(ソプラノ)(5)
   マリア・ルシア・ゴドイ(アルト)(5)
   シンギング・シティ・コーラス(5)
   録音 1968年1月13日ライヴ(1&4)
       1968年5月5日ライヴ(2&3)
       1967年11月9日ライヴ(5)

 このアルバムはストコフスキーが1967年と1968年に演奏した3つのオーケストラのライヴ録音です。
 ムソルグスキーの「ボリス・ゴドゥノフ」とワーグナーの「トリスタンとイゾルデ」はストコフスキーが交響組曲に編曲した版を使用しています。色づけした演奏はストコフスキー独特の世界があります。
 ベートーヴェンの交響曲第5番「運命」は第1楽章冒頭の主題をザンザンザンザーンとやや遅いテンポで演奏しています。ホルンのファンファーレはゆったりと演奏してからテンポアップしています。提示部のリピートはありません。展開部のオーボエカデンツァはゆったりと吹いています。再現部のファゴットのファンファーレはホルンが高らかに吹いています。またコーダ最後の2つの和音は音をずらしてアルペッジョのようにズシャン、ズシャンとやっています。第2楽章はゆったりとしたテンポで演奏しています。それにしても弦の厚みのある響きは凄いです。また微妙なテンポの変化があり指揮ぶりが目に浮かびます。特徴的なのはコーダ最後の和音で八分音符にフェルマータをつけて長く伸ばしています。第3楽章も面白く、ホルンの強奏はストコフスキーらしいです。ここでストコフスキーは38〜41小節で木管のsfにトランペットを重ねたり、90〜93小節ではヴィオラとオーボエのsfにトランペットを重ねて強調しています。フーガにおける低弦の強調はさすがにストコフスキーです。その強調が極端ですからびっくりです。第4楽章は重厚で力強い響きが聞かれます。テンポはやや速いほうです。第3楽章の回想から再現部と息もつけないほど緊張感があります。コーダのホルンの主題は強めに吹いています。そしてピッコロは2本で大きく鳴らしています。これはストコフスキーの独壇場でしょう。終結まで一気に演奏しています。拍手喝采でした。
 ベートーヴェンの交響曲第7番は良い響きの序奏が素晴らしい。程良いテンポ運び、弦楽の厚い響きと申し分ありません。提示部は速いテンポですすみます。第2楽章の序奏は重い足取りですが強弱をつけて演奏効果をあげています。第4楽章でストコフスキー主題のホルンの高い音を吹かせないで木管と同様に下降音階にしています。スタジオ録音も同じでした。
 マーラーの交響曲第2番「復活」はストコフスキーが演奏した数少ないマーラーの1曲です。その迫力は凄いものでした。第3楽章冒頭のティンパニの強打はびっくりでした。第5楽章の壮大な響きは圧巻です。


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