1960〜1979年の演奏


ピエール・ブーレーズ/ニュー・フィルハーモニア管弦楽団(1968)

CD(SONY SRCR2510)
 ベートーヴェン/交響曲第5番ハ短調Op67「運命」
   9:14/10:09/9:52/9:22
  (第1楽章、第3楽章リピート:カニジウス版)
LP(SONY SONC10357)
 ベートーヴェン/交響曲第5番ハ短調Op67「運命」
   9:14/10:08/19:13
   (第1楽章、第3楽章リピート:カニジウス版)

  ピエール・ブーレーズ指揮
   ニュー・フィルハーモニア管弦楽団
  録音 1968年12月 アビー・ロード・スタジオ

 1971年にLPが発売された時は「世界最長の運命」というキャッチコピーで評判となり、初めて第3楽章をリピートしたレコードで有名でした。これはブーレーズの生徒のカニジウスの論文を採用して演奏したものでした。後にペーター・ギュルケが校訂版を出版するにあたって、この研究論文が参考になったであろうことは想像できます。それよりも演奏の長さが気になります。第1楽章を9分代で録音していたのはフリッチャイだけでしたがブーレーズはそれよりも遅かったのでした。
 交響曲第5番の第1楽章はフルトヴェングラーのような開始ですが、そのままのテンポで進むものですからオーケストラは大変だったと思います。ホルンのファンファーレは少し弱く感じます。第1楽章を通してきくとリズムがはっきりと聞えて、どっしりと重い響きになっています。
 第2楽章はたっぷりと歌ってくれる演奏でした。第2変奏の木管の合いの手が柔らかく響いてきれいでした。木管四重奏も申し分ありません。これくらいのテンポが一番音楽に浸れます。
 第3楽章も遅めですが、たっぷりと聴かせてくれます。ホルンも明るくよく響いています。トリオのフーガも均整のとれた見事さがあります。ただ、この遅いテンポでリピートしましたから、結果的に第4楽章よりも時間がかかっていました。
 フィナーレは重厚な響きで堂々と演奏しています。大変豊かな響きでこれくらいの音でなくては満足できません。長い演奏ですが、抜群の演奏で満腹感を与えてくれる演奏でした。


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