1950年代の演奏

エーリヒ・クライバー/ケルン放送交響楽団(1955)
CD(medici arts MM002−2)

1.ベートーヴェン/交響曲第5番ハ短調Op67「運命」
    (7:21/9:22/5:08/9:18)
    (第1楽章リピート:ワインガルトナー版)
2.    〃   /交響曲第6番ヘ長調Op68「田園」

  エーリヒ・クライバー指揮
   ケルン放送交響楽団
   録音 1955年4月4日(モノラル)

 クライバーがケルン放送交響楽団に客演した時の放送録音です。53年のコンセルトヘボウとのスタジオ録音を思わせる演奏を披露しています。
 交響曲第5番「運命」は冒頭の重厚な響きが素晴らしく、フェルマータも長めです。間をおかずに進みます。ホルンのファンファーレはきれいです。展開部は弦楽器と管楽器の対話が見事です。ティンパニの張りのある響きが豪快です。ファゴットのファンファーレにはホルンを重ねています。コーダ最後のテーマはテンポを落とさずに一気に終わっていました。第2楽章は程良いテンポで主題をきれいに歌っています。第2変奏でヴァイオリンのピツィカートのはじけるような音が印象的です。木管四重奏はやわらかな響きが美しいです。第3楽章の序奏はリタルダンドと長いフェルマータが印象的です。ホルンのテーマは大きく響いています。フーガの勢いのある演奏も凄いです。フィナーレは重厚な響きで堂々とした演奏です。ティンパニの雷のような響きが轟いてびっくりします。ホルンの響きも素晴らしい。展開部は厚みのある響きが素晴らしく、第3楽章の回帰でオーボエのきれいな響きを聴く間もなく再現部に突入です。ここも大音量です。コーダのホルンの主題が大変表情豊かで素晴らしい、またピッコロの鮮やかな音もびっくりです。このようなピッコロは滅多にきかれません。プレストから終結までも圧倒的な演奏です。
 交響曲第6番「田園」は表情豊かな冒頭から素晴らしく、コンセルトヘボウの演奏同様大変きれいな響きです。第2楽章の表情豊かな歌はたまりません。ステレオ録音で聴きたいくらいです。第3楽章のオーボエ、クラリネット、ホルンのソロもきれいです。第4楽章の凄まじい「嵐」は凄いです。コーダの遠雷、太陽のきらめきも見事です。フィナーレの牧人の歌がゆったりと表情豊かに歌われるのはたまりません。 


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