1950年代の演奏

サー・エードリアン・ボールト/ロンドン・フィルハーモニー管弦楽団(1956)
CD(VANGUARD SVC11/13)3枚組

ボールト/ベートーヴェン/交響曲選集
CD1
1.交響曲第3番変ホ長調Op55「英雄」
2.序曲「レオノーレ」第3番Op72b
CD2
1.交響曲第5番ハ短調Op67「運命」
 (演奏時間7:56/9:07/5:15/8:24)
   (第1楽章リピート:原典版)
2.交響曲第6番ヘ長調Op68「田園」
CD3
1.交響曲第7番イ長調Op92
2.歌劇「フィデリオ」序曲Op72c
3.序曲「コリオラン」Op62
4.「エグモント」序曲Op84
  サー・エードリアン・ボールト指揮
   ロンドン・フィルハーモニー管弦楽団
   1956年6月ステレオ録音 

 このアルバムはイギリスの巨匠エードリアン・ボールトが録音したベートーヴェンをまとめた貴重な遺産です。初期のステレオ録音でLPでも国内盤が発売されていました。
 交響曲第3番「英雄」は廉価盤LPで発売されていた録音と同じです。広がりのある録音でホールトーンが生きています。整然とした演奏です。冒頭から生き生きとした流麗な演奏が流れます。
 交響曲第5番「運命」は重厚な響きの冒頭から見事な棒裁きです。たっぷり伸ばしたフェルマータ、勢いのある弦楽の演奏、明るいホルンのファンファーレと素晴らしい響きが聞かれます。展開部も流麗な演奏です。再現部のファンファーレはファゴットで吹いています。コーダのフェルマータは長いです。第2楽章の演奏も大変きれいです。木管楽器の響きが美しく、四重奏が見事です。第3楽章は序奏に続くホルンの主題が明るく響きます。フーガの演奏も絶妙です。弦楽セクションのうまさが際だっています。フィナーレの演奏は速めのテンポで颯爽とすすみます。第3楽章の回帰から再現部そしてコーダまであっという間です。きれいな演奏でした。
 交響曲第6番「田園」は穏やかな第1楽章がきれいです。第2楽章はちょっと速めのアンダンテですが、木管がきれいです。第3楽章のホルン・ソロはさわやかな演奏です。フィナーレのホルン・ソロも同様です。きれいな「田園」です。
 交響曲第7番は第1楽章冒頭から重厚な響きを出しています。提示部の演奏は厚みのある響きで管楽器のうまさが聞き物です。第2楽章の荘重な響きも素晴らしい。フィナーレの管楽器はホルンがよく響いていて胸がはずみます。スキップするようなリズムが生きています。
 4つの序曲はそれぞれ整然とした演奏です。ベートーヴェンの名序曲は何度聞いてもよいものです。


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