1950年代の演奏

アレクサンドル・ガウク/モスクワ放送交響楽団(1957)
CD(YEDANG YCC-0158)

1.ベートーヴェン/交響曲第5番ハ短調Op67「運命」
     (第1楽章、第4楽章リピート:原典版)
2.   〃    /交響曲第5番ハ短調Op67「運命」
      (第1楽章リピート:ワインガルトナー版)

  アレクサンドル・ガウク指揮
   モスクワ放送交響楽団(1)
  エフゲニー・ムラヴィンスキー指揮
   レニングラード・フィルハーモニー管弦楽団(2)
   録音 1957年1月23日(モノラル)(1)
       1972年1月29日(ステレオ)(2) 

 このアルバムにはガウクの貴重なライヴとムラヴィンスキーのステレオ・ライヴ録音という2つの「運命」が収録されています。
 ガウクの「運命」は1957年1月のライヴ録音です。ほとんど存在すら知られていなかった録音です。第1楽章は速いテンポの演奏です。若干の乱れがあるのは速いテンポと指揮によるものでしょう。提示部のリピートではのっています。ホルンの明るいファンファーレは見事です。展開部では若干テンポの変化をみせています。ここは50年代の個性的な指揮者が多い時代らしいところです。オーボエのカデンツァはきれいです。再現部のファゴットのファンファーレは原典版通りです。コーダにかけての圧倒的な演奏も凄いです。第2楽章は程良いテンポで表情豊かな演奏をしています。ここで目立つのがトランペットの強奏でしょう。レガートで華やかに吹いています。木管四重奏もきれいです。第3楽章の序奏ではリタルダンドが大きくなっています。ホルンの主題は明るく力強い演奏になっています。フーガの演奏は低弦の厚いヒビ機が素晴らしいです。フィナーレは冒頭のトランペットがパワフルな演奏で圧倒します。木管とホルンの主題でテンポの変化をみせています。提示部のリピートがあります。展開部の厚い響きはモスクワ放送ならではのものです。再現部の演奏も厚い響きを出しています。コーダのホルンの主題はビヴラートがかかってきれいです。プレストから終結は大音量の連続で、フェルマータも長めです。
 ムラヴィンスキーの「運命」は速いテンポでぐいぐい進む緊張感あふれる演奏です。スタッカートをはっきりさせています。また厚みのある響きがたまりません。展開部の強弱をはっきりとさせるところは凄いです。再現部のファゴットのファンファーレはホルンを重ねています。第2楽章の主題の美しさ、管楽器の強奏など聴くものを圧倒させます。第3楽章のホルンの主題は明るく響きます。フーガの演奏では低弦の凄い響きに驚きます。そしてフィナーレの厚みのある響きには圧倒させられます。ホルンと木管による主題の強奏も凄いです。ティンパニの強打もあります。コーダのホルンの主題がきれいです。そしてプレストから終結への圧倒的な響きは素晴らしく、聴衆が興奮するのも無理はないでしょう。


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