1950年代の演奏

ラファエル・クーベリック/フィルハーモニア管弦楽団(1957)
CD(TESTAMENT SBT1241)

デニス・ブレイン/最後の録音     
1.ドヴォルザーク/交響的変奏曲Op78
2.マルチヌー/ピアノ協奏曲第4番「呪文」
3.ベートーヴェン/交響曲第5番ハ短調Op67「運命」
  (第1楽章、第4楽章リピート:ワインガルトナー版) 

  ルドルフ・フィルクスニー(ピアノ)(2)
  ラファエル・クーベリック指揮
   フィルハーモニア管弦楽団
   1957年8月30日録音(モノラル)
    エジンバラ音楽祭 

 クーベリックが1957年のエジンバラ音楽祭に出演したときのライヴ録音ですが、実はデニス・ブレインが事故死の前に出演していた演奏会でもありました。ブレインは2日後の9月1日早朝に亡くなっていますが、それは31日のエジンバラ音楽祭が終わって深夜に自宅に車で帰った時の事故でした。この8月30日の演奏会には首席ホルンとして演奏していますのでブレイン最後の録音になります。
 クーベリックの故郷チェコの作曲家ドヴォルザークとマルチヌーの作品とベートーヴェンの「運命」が演奏されていました。ドヴォルザークの交響的変奏曲はフィルハーモニアの抜群のアンサンブルで聴くと他の演奏が違うものに聞こえるほどです。
 マルチヌーのピアノ協奏曲第4番「呪文」はフィルクスニーのピアノでした。マルチヌーのスペシャリストであるフィルクスニーのピアノでこの曲の全体像が浮かび上がってきます。
 クーベリック初めてのベートーヴェンの交響曲第5番「運命」録音がこの演奏会でした。ティンパニが重く響く第1楽章が素晴らしいです。ブレインの鮮やかなホルンが響きます。展開部から再現部のきびきびした演奏も素晴らしく、再現部ではファゴットのファンファーレをホルンが吹いています。ブレインらが力強い音で吹いています。第2楽章はやや速めのアンダンテ・コン・モトです。厚みのある弦楽が素晴らしいです。木管四重奏のやわらかな響きがきれいでした。第3楽章のホルンの主題が強く響きます。フーガのうまさはさすがにフィルハーモニアです。フィナーレの重厚な響きはティンパニの重い音がきいていますし、管楽器の厚みのある響きもいいです。提示部のリピートがあります。クーベリックはここでもリピートしていました。展開部も凄い音になっています。第3楽章の回想でほっとする間もなく再現部に突入します。コーダのホルンの主題がとてもきれいです。プレストから終結までは一気に進みますが、意外なのが最後のフェルマータで思いのほか短いです。演奏は素晴らしいものでした。


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