1980〜1999年の演奏

ウォルフガング・サヴァリッシュ/ロイヤル・コンセルトヘボウ管弦楽団(1991)


CD1(BRILLIANT 92766) 全集
CD2(EMI TOCE-8000) 
CD3(EMI TOCE-11631) 

 ベートーヴェン/交響曲全集
CD1-4、CD2&CD3
1.交響曲第5番ハ短調Op67「運命」
   7:50/10:17/5:09/8:35
    (第1楽章リピート:原典版)
2.交響曲第6番ヘ長調Op68「田園」

  ウォルフガング・サヴァリッシュ指揮
    ロイヤル・コンセルトヘボウ管弦楽団
  録音 1991年3月11、14&15日

 サヴァリッシュがコンセルトヘボウ管弦楽団を指揮したベートーヴェン交響曲全集の中の1枚です。
 交響曲第5番「運命」は第1楽章冒頭は重厚な響きで、フェルマータはたっぷり伸ばしています。ホルンの力強いファンファーレは素晴らしい響きです。展開部は弦楽と管楽器のバランスのよい見事な演奏です。ティンパニも良い響き、オーボエのカデンツァもきれいです。再現部のファゴットのファンファーレはファゴットによる原典版です。コーダまでの緊張感は素晴らしいものです。第2楽章はやや遅めのテンポで主題を丁寧に歌っています。弦楽の美しさがあります。第1変奏の良い響き、全合奏の厚い響き、第2変奏においても同様で、ファゴットとクラリネットの素晴らしい響きが聴かれます。木管四重奏の美しい響き、そしてクライマックスも聴きものです。木管の第3変奏もきれいな響きです。そしてコーダも感動的な演奏です第3楽章は序奏に続くホルンの明るい響きが素晴らしい。この楽章の厚い響き、フーガの力強い弦楽の素晴らしさがあります。コーダまでの緊張感、木管の美しい響き、これが素晴らしい。フィナーレは冒頭の重厚な響き、ホルンの良い響き、提示部の厚い響きは聴きものです。展開部の響きの良さ、第3楽章の回帰の美しい響き、再現部の緻密な演奏と感動的な演奏が続きます。コーダのホルンの主題とピッコロの素晴らしい響き、ここは聴きどころです。プレストから終結までの圧倒的な演奏、最後のフェルマータはティンパニの一打で終わります。これは名演です。
 交響曲第6番「田園」は第1楽章の冒頭は静かに、そして一気に盛り上げていきます。オーボエが良い響きです。提示部の穏やかな響きはホルン以外の金管楽器と打楽器の入らない楽章だけに柔らかい響きです。提示部のリピートがあります。展開部はフレーズの繰り返しがあります。田園風景の奥深さでしょうか。再現部は弦楽と管楽器のバランスのよい演奏です。コーダのクラリネットが大変きれいに響きます。最後はたっぷり伸ばしています。第2楽章の「小川のほとりの情景」は小川の流れを感じさせる弦楽の動きがきれいに響きます。管楽器の響きもきれいです。ファゴットに始まる第2主題が小川の流れの良さを感じさせます。続く弦楽も素晴らしい響きです。再現部のフルート、オーボエの歌は鳥の鳴き声のように聞こえます。コーダのフルート、オーボエ、クラリネットが歌う小鳥の鳴き声は素晴らしい演奏です。第3楽章のアレグロは快適な演奏です。オーボエ、クラリネット、ホルンと続くソロは素晴らしい響きです。トリオの迫力ある演奏はまさに踊っているかのようです。第4楽章の「嵐」は嵐の前の静けさから一気に嵐の大雨になる様子、ティンパニの雷鳴と生々しい響きがあります。ティンパニのバチさばきは豪快で見事なものです。また大雨がきて、雲が流れていく様子も感じられます。コーダの遠雷の表現は見事です。第5楽章の「嵐のあとの感謝の気持ち」はクラリネットに続くホルンの美しい響きでよく表れています。そして「牧人の歌」は喜びにあふれています。主題の変奏もよい響きになって素晴らしい「田園」です。コーダの素晴らしい演奏、ホルンのソロもきれいに響きます。
(CD1は2001年発売の全集、CD2は1992年発売の国内盤、CD3は2001年発売の国内盤)


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