1960〜1979年の演奏


ウォルフガング・サヴァリッシュ/NHK交響楽団(1970)

CD(NHKCD KKC-2127/33) 

ベートーヴェン/交響曲全集
CD2
1.交響曲第8番ヘ長調 Op93
2.交響曲第5番ハ短調Op67「運命」
   (第1楽章リピート:原典版)
  7:46/10:21/5:14/8:19
CD3
3.交響曲第2番ニ長調 Op.36
4.交響曲第6番ヘ長調Op68「田園」
CD4
5.交響曲第4番変ロ長調 Op60
6.交響曲第7番イ長調 Op92

  ウォルフガング・サヴァリッシュ指揮
     NHK交響楽団
  録音 1970年4月20日(1&2)
      1970年4月25日(3&4)
      1970年4月30日(5&6)
      東京文化会館ライヴ

 ベートーヴェンの生誕200年を記念して開催された演奏会で、サヴァリッシュがNHK交響楽団を指揮した交響曲全曲の中の3枚です。
 交響曲第8番は第1楽章の弦楽の華やかさが聴きものです。深みのある響き、木管のユニゾーンもきれいです。展開部のファゴットやクラリネットなどの木管も良い響きです。ティンパニも良い響きです。再現部の厚い響きは見事です。第2楽章のスケルツァンドはメトロノームのようなリズムを刻むのが特徴です。快適なテンポで演奏しています。弦楽の緻密な演奏はここも素晴らしいものです。迫力のある演奏も聴かれます。第3楽章のメヌエットは大変良い響きでファゴットの響きもきれいです。トリオのホルンの二重奏の流麗な演奏とクラリネットの響きの美しさは素晴らしいです。このメヌエットの聴きどころです。第4楽章はアレグロ・ヴィヴァーチェ、弦楽の刻みの素晴らしい響きと、勢いのある演奏が素晴らしい。ティンパニも良い響きです。強弱の付け方はサヴァリッシュのベートーヴェンのうまさでしょう。この第8番は名演です。拍手喝采です。

 交響曲第5番「運命」は第1楽章冒頭は弦楽がレガート気味に滑らかに演奏します。フェルマータはたっぷり伸ばしています。ホルンの力強いファンファーレは素晴らしい響きです。展開部も素晴らしい響きです。特に弦楽の厚みのある響きはきれいです。管楽器と弦楽の対話もきれいです。ティンパニも凄い響きです。オーボエのカデンツァもきれいです。再現部のファゴットのファンファーレはファゴットによる原典版です。コーダまでの緊張感は素晴らしいものです。ティンパニは迫力のある演奏です。コーダは迫力のある見事な演奏です。第2楽章はやや遅めのテンポで主題を丁寧に歌っています。ここも弦楽の美しさがあります。第1変奏も良い響きで木管もきれいな演奏です。全合奏の厚い響きも見事な演奏です。第2変奏においても同様で、素晴らしい響きが聴かれます。木管四重奏からのクライマックスも聴きものです。木管の第3変奏もきれいな響きです。第4変奏のファゴットもきれいです。そしてコーダも感動的な演奏です。第3楽章は序奏に続くホルンの明るい響きが素晴らしい。フーガは弦楽の素晴らしい演奏です。続く低弦の演奏も見事なものです。その後の弱音部分はきれいな響きです。フィナーレへのクレッシェンドは迫力があります。フィナーレはドイツ的な重厚な響きで厚みのある演奏です。提示部の厚い響き、管楽器の響きも素晴らしいです。展開部もよい響きです。トロンボーンもよい響きです。第3楽章の回帰はクラリネットとオーボエがきれいです。再現部の緻密な演奏は見事です。重厚な響きでティンパニも良い響きです。コーダの和音の連続とホルンの主題とピッコロの響き、ここは聴きどころです。プレストから終結までの緊張感は圧倒的です。最後のフェルマータはたっぷり伸ばしてティンパニの一打で終わります。これは名演です。拍手喝采です。

 交響曲第2番は第1楽章の序奏では気迫に満ちた演奏、主部のアレグロ・コン・ブリオは勢いのある演奏で、オーケストラの統率されたアンサンブルは見事なものです。ティンパニや弦楽の響きは素晴らしい響きです。第2楽章のラルゲットは弦と木管による歌があります。これは美しい演奏です。後半のホルンは良い響きです。第3楽章のスケルツォはベートーヴェンの作品の華やかさを感じさせてくれます。弦と木管とホルンのわくわくするような演奏です。トリオの木管とホルンもきれいな演奏です。第4楽章はアレグロ・モルトでぐいぐい進むオーケストラはこの第2交響曲の楽しさを教えてくれます。聴くほどにこの演奏には耳を奪われそうです。木管も金管も良い響きです。後半のティンパニも良い響きです。思わず拍手したくなる名演です。拍手喝采です。

 交響曲第6番「田園」は第1楽章の冒頭からよい響きです。木管と弦楽が厚い響きを出しています。ホルンもきれいです。提示部のリピートがあります。きれいな演奏です。まさに田園です。展開部はフレーズの繰り返しに緊張感を感じます。弦楽のきれいな響きが「田園」らしいです。再現部の木管やホルンもきれいです。コーダのクラリネットやフルートはきれいな演奏です。第2楽章の「小川のほとりの情景」は小川の流れを感じさせる弦楽の動きがきれいです。木管楽器の主題もきれいです。ファゴットの第2主題が弦楽に乗って小川の流れの良さを感じさせます。後半でオーボエとフルートの美しい音色が素晴らしいです。コーダのフルート、オーボエ、クラリネットの小鳥の鳴き声は素晴らしい演奏です。第3楽章のアレグロは踊りたくなるような演奏です。ホルンは良い響きです。オーボエ、クラリネット、ホルンと続くソロはきれいです。ホルン・ソロは大変きれいな演奏です。トリオの勢いのある演奏はきれいです。迫力があります。第4楽章の「嵐」は嵐の前の静けさから一気に嵐の大雨になる様子、ティンパニの雷鳴と圧倒的な響きがあります。また大雨がきて、雲が流れていく様子まで感じられます。ティンパニは良い響きです。コーダの遠雷の表現が素晴らしいです。オーボエとフルートの響きもきれいです。第5楽章の「嵐のあとの感謝の気持ち」はクラリネットとホルンで歌われます。ホルンがきれいです。そして「牧人の歌」は喜びにあふれています。弦楽の演奏が素晴らしいです。良い演奏です。ホルンの角笛もきれいです。コーダはテンポを少し落して重厚な演奏をしています。ホルンもよく響きます。これも拍手喝采です。

 交響曲第4番は第1楽章の序奏で管楽器が良い響きを出しています。弦もよい響きです。そして提示部の主題は説得力のある歌い方をしています。良いテンポで素晴らしいアンサンブルです。ファゴットの明るい響きも、クラリネットなどの響きもきれいです。迫力のある演奏にも聞こえます。これほど楽しくなる演奏はないでしょう。再現部の響きは最高です。コーダも迫力があります。第2楽章のアダージョはやや遅めのテンポですが、管楽器の響きが大変きれいです。迫力があります。木管もきれいな演奏です。後半も弦楽の響きの良さ、クラリネットとホルンの明るい響きがきれいです。最後はティンパニが良い響きです。第3楽章のアレグロ・ヴィヴァーチェは弦楽と管楽器の対話のように演奏しています。これがきれいです。トリオも同じです。弦楽の美しい響きもあって素晴らしい演奏です。最後のホルンも良い響きです。第4楽章のアレグロ・マ・ノン・トロッポは良いのテンポの演奏です。弦楽とオーボエとフルートの鮮やかな演奏は見事です。全合奏の迫力は素晴らしいです。フルートと弦楽の勢いのある演奏も素晴らしいです。後半からコーダの演奏が圧倒的に素晴らしいです。サヴァリッシュの指揮は素晴らしいです。拍手喝采です。

 交響曲第7番は冒頭の厚みのある響きが素晴らしい。オーボエやホルンのソロもきれいです。序奏の弦楽の刻みと管楽器の響きがこの作品の聴きどころですが、見事な演奏です。ティンパニも良い響きです。提示部のフルートから全合奏の見事な演奏、ホルンとティンパニの厚い響きはききものです。展開部のホルンの強奏、全合奏の厚い響き、これぞ第7番の素晴らしさです。再現部のオーボエも美しい。木管の響きもきれいです。ホルンも良い響きです。コーダの低弦のフレーズの連続、終結のホルンの叫びと見事な演奏です。第2楽章のアレグレットは弦楽の主題と対旋律の見事な調和が聴きどころ。うねるような弦楽が素晴らしい。管楽器の強奏も見事な響きです。ティンパニも良い響きです。中間部の木管、ホルンも良い響きです。コーダの演奏もまた素晴らしいです。第3楽章はスケルツォ、軽快なテンポで勢いがあります。管楽器の響きは見事で、ティンパニも良い響きです。トリオの美しい響き、第2ホルンの良い響きもあって、このスケルツォも素晴らしい演奏です。第4楽章は冒頭から緊張感のある演奏、ホルンの豊かな響きはこのフィナーレの聴きどころ、展開部では低弦の厚みのある響きが素晴らしい。ティンパニも迫力ある響きです。再現部の厚い響きとホルンの良い響き、整然とした演奏、コーダの圧倒的な演奏には感動でした。拍手喝采です。


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