1980〜1999年の演奏

朝比奈 隆/倉敷音楽祭祝祭管弦楽団(1992)
CD(TOBU TBRCD0013-2)

1.ベートーヴェン/交響曲第2番二長調Op36
2.   〃    /交響曲第5番ハ短調Op67「運命」
           (第1楽章、第4楽章リピート:原典版)
  朝比奈 隆指揮
   倉敷音楽祭祝祭管弦楽団
   録音 1989年3月17日ライヴ(1)
       1992年3月24日ライヴ(2)
    倉敷市民会館大ホール

 朝比奈隆はベートーヴェンの交響曲全集を大阪フィルと6度、新日本フィルと1度録音していますが、もうひとつ倉敷音楽祭でも毎年1曲ずつ演奏していました。CD化はうれしいことです。小編成のベートーヴェンは朝比奈のほかでは聞けないものです。
 交響曲第2番は新日本フィルとの交響曲全集を録音した1989年の演奏です。オーケストラメンバーはソリスト集団サイトウキネンとNHK交響楽団から参集した凄いメンバーがほとんどです。この演奏はホールと編成のためか響きに少し物足りなさを感じますが、第1楽章を聞いていると管楽器の演奏にかなり自由な表現があり、音楽を楽しんでいる時もあったのではないでしょうか。第2楽章の主題は歌曲にもなった名曲です。朝比奈の指揮によって美しい旋律が引き出されています。スケルツォは管楽器のうまさが際立つ演奏です。フィナーレは熱気を帯びた演奏になりました。
 交響曲第5番「運命」は遅めのテンポの第1楽章は冒頭の主題そして長いフェルマータが大変きれいです。2番と同じホールとは思えないほどきれいに響いています。ホルンのファンファーレは良い響きです。(ホルンは山岸博、樋口哲生の両名です)展開部では弦楽と管の対話が素晴らしい。オーボエのカデンツァから再現部の淀みない演奏は朝比奈らしいうまさがあります。再現部のファゴットのファンファーレもきれいです。コーダの主題はフェルマータが長いです。第2楽章は小編成の弦楽セクションが生々しい音で主題を演奏しています。管楽器の響きはいうことありません。第1変奏の流麗な演奏もきれいです。バックのクラリネットの響きもいいです。木管四重奏は大変きれいに響いています。フルートが金昌国という贅沢な演奏です。
 第3楽章はホルンの主題がきれいです。フルートがよく響きます。フーガは弦楽の見事なアンサンブルが素晴らしい。フィナーレは編成が小さいとは思えない重厚な響きを出しています。弦楽の鮮やかな響きが素晴らしい。提示部のリピートがあります。展開部では明るい響きのフルートが印象に残ります。第3楽章の回想はオーボエのソロが大変きれいです。再現部では管楽器の素晴らしい演奏の連続です。コーダの和音の連続、そしてホルンの主題はきれいな響きです。プレストからの演奏は圧倒的で、終結まで一気に演奏しています。


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