1950年代の演奏

ラースロー・ショモジイ/シュトゥットガルト歌劇場管弦楽団(1957〜58)
CD(ADORA BELLA MUSICA 206207-360)

ベートーヴェン/交響曲&管弦楽曲集
CD1
1.交響曲第2番ニ長調Op36
2.交響曲第4番変ロ長調Op60
CD2
3.「レオノーレ」序曲第3番Op72b
4.「コリオラン」序曲Op62
5.「エグモント」序曲Op84
6.交響曲第1番ハ長調Op21
CD3
7.交響曲第5番ハ短調Op67「運命」
 (第1楽章、第4楽章リピート:原典版)
  (8:19/11:11/5:38/11:28)
8.付随音楽「タルペイア」より
   凱旋行進曲と葬送行進曲
9.祝賀メヌエット変ホ長調WoO.3

  イシュトヴァン・ケルテス指揮
    バンベルク交響楽団(1〜5)
  トーマシュ・コートニク指揮
   スロヴァキア・シンフォニエッタ(6)
  ラースロー・ショモジイ指揮
   シュトゥットガルト歌劇場管弦楽団(7)
  アロイス・スプリンガー指揮
    ハンブルク交響楽団(8&9)
   録音1960年代(1〜6)
      1950年代後半(7〜9)
      (ステレオ録音)  

 ケルテスのベートーヴェンはバンベルク交響楽団を指揮した2番と4番の他に3つの序曲の録音があります。60年代前半の録音と思われますがカイルベルト時代のオーケストラだけにドイツ伝統のベートーヴェンの響きがあります。
 交響曲第2番では序奏の落ち着いた響きと流麗な主部がきれいです。第2楽章の主題の美しさも素晴らしい。第3楽章の弾むような演奏は驚きです。フィナーレは速くなく力みのない演奏です。
 交響曲第4番は序奏のきれいな響きと主部の鮮やかな演奏、第2楽章の弦楽のやわらかな響きが素晴らしい。フィナーレは弦楽のうまさと管楽器の響きが印象的です。「レオノーレ」第3番、コリオラン」序曲と「エグモント」序曲では「コリオラン」の冒頭で和音がホール一杯に響きわたり、大変きれいです。いずれもベートーヴェンの重厚な響きがあります。「エグモント」の劇的な響きは素晴らしい。
 コートニク指揮の交響曲第1番は録音が大変きれいです。70年代以降の録音かもしれません。演奏も申し分なく弦楽セクションが特に素晴らしい。
 ラースロー・ショモジイはハンガリー出身の指揮者という以外は経歴不明ですが、ステレオ初期に交響曲第5番「運命」を録音していました。第1楽章は遅めのテンポで丁寧な演奏です。提示部ではホルンのファンファーレがやわらかな響きできれいです。展開部もよどみない演奏で弦楽のレガート管楽器との対話など良い響きです。再現部は原典版のとおりファゴットのファンファーレです。第2楽章は遅いテンポで丁寧に演奏しています。第3楽章は程よいテンポでホルンの主題も明るいです。フーガの弦楽セクションは見事な演奏です。フィナーレは堂々とした演奏でよい響きです。提示部のリピートがあります。展開部の響きもよく、再現部のゆったりとした主題は厚みがあります。コーダのホルンの主題がきれいです。ピッコロが目立ちます。プレストから終結は圧倒的です。最後のフェルマータでティンパニが2度打ちしています。
 付随音楽「タルペイア」は作品名辞典に載っていますが、実際に聞くことはほとんどないでしょう。凱旋行進曲と葬送行進曲だけのようです。演奏はいうことありません。最後の「祝賀メヌエット変ホ長調」も録音の少ない小品です。新しいドイツ劇場のために書かれた作品です。


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