2000年代の演奏

宇野 功芳/大阪フィルハーモニー交響楽団(2005)
CD(EXTON OVCL−00107)

1.モーツァルト/歌劇「フィガロの結婚」序曲K492
2.   〃  /交響曲第40番ト短調K550
3.ベートーヴェン/交響曲第5番ハ短調Op67「運命」
  8:38/11:54/6:23/9:27(36分22秒)
   (第1楽章リピート:ワインガルトナー版)
4.ハイドン/セレナード

  宇野 功芳指揮
   大阪フィルハーモニー交響楽団
   録音 2005年4月10日
   大阪、ザ・シンフォニーホール・ライヴ

 宇野先生が大阪フィルの指揮台に立った時のライヴです。
「フィガロの結婚」序曲は遅いテンポです。そのため弦の刻みがはっきりしています。またそのために装飾音がはっきりとわかります。テンポの変化はあります。それよりも交響曲第40番の第1楽章はオーケストラ泣かせのポルタメントの多用があります。ワルターでさえもここまではやりませんでした。テンポの変化も多いです。第3楽章のテンポも遅いです。フィナーレは普通にアレグロ・アッサイでした。
 交響曲第5番「運命」の第1楽章冒頭は遅くはないのですが、ホルンのファンファーレのあとにくる第2主題がぐっとテンポを落としてきますのでびっくりです。当然ながらテンポアップしてきます。リピートがあります。展開部はわりあい速いテンポです。途中から急に大音量になってびっくりです。またテンポの変化、運命の主題の強調など面白いです。再現部ではここでもファゴットのファンファーレをホルンに代えています。テンポはだんだん速くなってきます。コーダの運命の主題はグンとテンポを落とします。そして長い間はフルトヴェングラーのようです。
 第2楽章も普通のテンポのようで時に聴き所を作っています。木管四重奏のあとにテンポルバートをかけています。面白いのは最後の2小節です。フェルマータはないのに思いきり延ばしています。
 第3楽章も遅めのテンポです。ホルンのテーマは力強く演奏しています。フーガは遅いので勢いはありませんがフーガの美しさがあります。面白いのが4楽章へのクレッシェンドで、そこにリタルダンドをかけてティンパニのリズムを遅くして一気に第4楽章に入ります。4楽章は遅いテンポながら大変厚い響きになっています。展開部に入ると最初の主題でテンポを落としています。トロンボーンの主題でもテンポを落としています。またいきなりのクレッシェンド効果もあります。第3楽章の回想でもやっぱり同じリタルダンドをかけて再現部に突入でした。コーダのプレストはフルトヴェングラーのようにテンポは速いです。そして最後にテンポを落としました。最後のフェルマータも気を持たせてくれます。長いフェルマータはティンパニの強打が凄いです。
 ハイドンの「セレナード」はアンコールでしょう。時折ポルタメントをかけていて大変きれいでした。


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