2000年代の演奏

飯森 範親/ヴュルテンベルク・フィルハーモニー管弦楽団(2005)
CD(EXTON OVCL−00224)

1.ベートーヴェン/交響曲第5番ハ短調Op67「運命」
  6:57/9:35/4:58/10:27(31分57秒)
  (第1楽章、第4楽章リピート:ベーレンライター版)
2.ベートーヴェン/交響曲第2番ニ長調Op36

  飯森 範親指揮
   ヴュルテンベルク・フィルハーモニー管弦楽団
    録音 2005年5月20&21日(1)
        2005年9月7&8日(2) 
    ヴュルテンベルク・フィルハーモニー・スタジオ

 このアルバムは飯森範親がドイツのヴュルテンベルク・フィルを指揮したベートーヴェンの交響曲全集の中の1枚です。ベーレンライター版による演奏です。
 交響曲第5番「運命」の第1楽章は爽やかな印象を受けます。速すぎずとても良い響きです。提示部の演奏は素晴らしく、ホルンのファンファーレがきれいです。展開部はオーケストラのバランスが良く、弱奏の美しさがあります。オーボエのカデンツァがきれいです。その後の間がたまりません。再現部は管楽器の響きが良く、ティンパニも目立つことなく良い響きでした。 
 第2楽章は木管の美しい響きがなんともいえません。第2変奏のあとの木管四重奏はホールに大変良く響いてきれいです。第3楽章の序奏はフェルマータを長く伸ばしています。ホルンのテーマは明るく良い響きです。フーガは速いテンポで大変素晴らしい演奏です。
 第4楽章は重厚な響きを出して音量も豊かです。提示部のリピートがあります。展開部に入ってからの木管の響きはきれいです。また弦楽器の「運命のフレーズ」のリレーがよく聞こえます。第3楽章の回帰はオーボエの聞き所です。再現部の大音量は凄いです。コーダの和音とホルンの主題は大変きれいです。ピッコロもきれいでした。プレストからは和音の連続まで見事な演奏です。弦の刻みが鮮やかです。最後のフェルマータまでの怒濤の演奏は圧倒されます。
 交響曲第2番は序奏からティンパニに重きを置いた演奏で、第1楽章においてはポイントポイントで良い響きを出しています。爽やかな演奏でヴァイオリンの響き、上昇下降の速いフレーズの素晴らしさが聞き所。第2楽章は主題の美しさがありますが、木管楽器の響きが素晴らしい。第3楽章でもティンパニの強打がポイントでしょう。聞き流しのできない凄い演奏になっています。フィナーレではティンパニだけでなくファゴットのフレーズにも輝きを与えた絶妙な演奏です。飯森の「してやったり」感があります。このアルバムは「運命」も良かったですがそれ以上に第2番をスターにのし上げた印象が強いです。聴いていて飽きません。


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