2000年代の演奏

クリスティアン・ティーレマン/ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団(2006)
CD-R(En Larmes ELS-06-686) 

1.シューマン/交響曲第3番変ホ長調Op97「ライン」 
2.ベートーヴェン/交響曲第5番ハ短調Op67「運命」
              (第1楽章&第4楽章リピート:原典版)
 
  クリスティアン・ティーレマン指揮
   ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団
   録音 2006年3月24日
     ムジーク・フェラインザール・ライヴ

 ティ−レマンはフィルハーモニアとシューマンの交響曲全集を録音していました。「運命」も同様です。この演奏はウィーン・フィルを指揮したものです。シューマンの「ライン」はウィーン・フィルのきれいな響きが素晴らしく、なんともいえないほどです。
 ベートーヴェンの交響曲第5番「運命」はウィーン・フィルとの交響曲全集を録音するきっかけになったと思われる厚い響きの演奏です。第1楽章冒頭から弦楽の厚いひびきが凄いです。勢いのある演奏で緊張感もある素晴らしい演奏です。ウィーン・フィルのオーボエのカデンツァはやはり絶品でしょう。再現部のファゴットのファンファーレはやわらかでこれがまたきれいです。ティンパニの重い響きも絶妙です。速すぎないテンポで演奏しており好印象を受けました。コーダの運命の主題でテンポを少し落としています。
 第2楽章の冒頭の主題がこれ以上ないほどの美しい演奏です。続くオーボエ、フルートのフレーズの歌い方はアリアのようです。第3楽章は序奏のリタルダンドをゆたったりと演奏しています。ウィンナホルンの主題が素晴らしい。フィナーレは遅めのテンポで入りテンポアップするという20世紀の巨匠のような演奏です。また厚みのある響きが素晴らしい。提示部のリピートはテンポの変化は少なく、すぐに速いテンポになります。実にスリリングな演奏です。第3楽章の回想が遅いテンポで再現部が速いテンポになるというとてもそのギャップが面白いです。コーダの和音、ホルンの主題、ピッコロの明るい響きと勢いがあります。プレストからがまた凄いです。382小節から385小節のヴァイオリンとヴィオラのりズムの刻みをこれほど極端に鳴らしたのはラットル以来です。そして猛スピードで一気に終結までいくと思えば最後にテンポを落とすという感動的な演奏でした。21世紀の「運命」の中では突出した名演といえましょう。


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