2000年代の演奏

ベルナルト・ハイティンク/ロンドン交響楽団(2006)

CD1(LSO LSO0598)全集
CD2(LSO LSO0590)

 ベートーヴェン/交響曲全集
CD1−3&CD2
1.交響曲第5番ハ短調Op67「運命」
   7:27/8:29/4:53/10:03
  (第1楽章リピート:ベーレンライター版)
2.交響曲第1番ハ長調Op21
  ベルナルト・ハイティンク指揮
  ロンドン交響楽団
  録音 2006年4月24&25日(1)
      2006年4月29&30日(2)
CD1−4
1.交響曲第6番ヘ長調Op68「田園」
2.交響曲第2番ニ長調Op36
  ベルナルト・ハイティンク指揮
  ロンドン交響楽団
  録音 2005年11月21&22日(1)
      2005年11月26&27日(2)    
CD1−5
1.交響曲第7番イ長調Op92
2.ピアノ、ヴァイオリンとチェロのための
        三重協奏曲ハ長調Op56
  ゴルダン・ニコリッチ(ヴァイオリン)
  ティム・ヒュー(チェロ)
  ラルス・フォークト(ピアノ)
  ベルナルト・ハイティンク指揮
  ロンドン交響楽団
  録音 2005年11月16&17日(1)
      2005年11月26&27日(2)
   ロンドン/バービカン・センター・ライヴ

 ハイティンクがロンドン交響楽団を指揮したベートーヴェン交響曲全集の中の3枚です。バービカン・センターでのライヴ録音です。これがハイティンク3度目のベートーヴェン交響曲全集でした。ベーレンライター版を使用しての演奏です。
 交響曲第5番「運命」は第1楽章冒頭は速めのテンポで重厚な響きです。フェルマータは短めです。ティンパニの響きは凄いです。ホルンのファンファーレは明るい響きがきれいです。第2主題がきれいに響きます。展開部は弦楽と管楽器のバランスのよい見事な演奏で、勢いがあります。レガートがきれいです。オーボエのカデンツァはきれいです。再現部のファゴットのファンファーレはファゴットによる演奏です。コーダまでの力強い演奏は素晴らしいものです。ティンパニの響きも素晴らしいです。コーダのフェルマータはしっかり伸ばしています。圧倒的な終わり方です。第2楽章はやや速めのテンポで主題を歌っています。弦楽の美しさがあります。木管も良い響きです。低弦の厚い響きもあります。第1変奏の美しい響き、木管の美しい響き、全合奏の厚い響きと低弦の力強さ、第2変奏においても同様で、ファゴットとクラリネットの良い響きが聴かれます。木管四重奏の美しい響き、そしてクライマックスも聴きものです。ティンパニの響きも素晴らしいです。木管の第3変奏もきれいな響きです。そして迫力の経過部とファゴットの第4変奏もきれいです。コーダは圧倒的な響きです。第3楽章は序奏に続くホルンの明るく力強い響きが素晴らしい。フーガの力強い弦楽の演奏、低弦の力強さがあります。突然のティンパニのクレッシェンドには驚きます。コーダからフィナーレまでの緊張感、ホルンや木管の美しい響き、これが素晴らしい。フィナーレは冒頭の重厚な響き、ティンパニの強烈な響き、ホルンの力強い演奏、提示部の厚い響きは聴きものです。提示部のリピートがあります。展開部の響きの良さ、トロンボーンの響きの良さ、ここもティンパニの響きは厚いです。第3楽章の回帰の美しい響き、オーボエの響きの良さは素晴らしいです。再現部は圧倒的な響きと感動的な演奏が続きます。オーケストラが爆発しているかのようです。コーダのホルンの主題とピッコロの素晴らしい響きは凄いです。プレストから終結までの圧倒的な演奏、最後のフェルマータは感動的な演奏です。

 交響曲第1番は第1楽章冒頭の美しい響き、主部の勢いのある演奏は素晴らしいです。木管の良い響きと弦楽の緻密な演奏が素晴らしいです。展開部から再現部の整然とした演奏は見事なものです。第2楽章のアンダンテ・カンタービレはやや速めのテンポで歩くようなイメージの勢いのある演奏です。弦楽の美しい響きは素晴らしいです。第3楽章はアレグロ・モルト・エ・ヴィヴァーチェで勢いのある演奏です。トリオも速めのテンポで演奏しています。見事な演奏です。ティンパニの響きはここも素晴らしいです。第4楽章は序奏の静寂と主部のアレグロ・モルト・エ・ヴィヴァーチェの対比は素晴らしいもので、速いテンポで進む主部は勢いがあります。ベーレンライター版使用で、速いテンポの迫力ある演奏になっています。

 交響曲第6番「田園」は第1楽章の冒頭から美しい響きです。そして一気に盛り上げていきます。オーボエが良い響きです。全合奏も良い響きです。ホールの残響は少ないですがきれいな響きです。提示部のリピートがあります。展開部はフレーズの繰り返しがあります。弦楽と管楽器の美しい響きが聴かれます。実に素晴らしい響きです。再現部は弦楽と管楽器のバランスのよさは素晴らしいです。ホルンがきれいに響きます。コーダのクラリネットがきれいに響きます。第2楽章の「小川のほとりの情景」は小川の流れを感じさせる弦楽の動きがきれいに響きます。管楽器の響きもきれいです。ファゴットに始まる第2主題が小川の流れの良さを感じさせます。続くフルートや弦楽も素晴らしい響きです。中間部のクラリネットの美しい響きは聴きどころです。再現部のフルート、オーボエの歌は鳥の鳴き声のように聞こえます。ファゴットも良い響きです。コーダのフルート、オーボエ、クラリネットが歌う小鳥の鳴き声は素晴らしい演奏です。終結も良い響きです。第3楽章のアレグロは快適な演奏です。オーボエ、クラリネット、ホルンと続くソロは素晴らしい響きです。特にホルンはきれいに響きます。トリオの迫力ある演奏も素晴らしい響きです。第4楽章の「嵐」は嵐の前の静けさから一気に嵐の大雨になる様子、ティンパニの雷鳴と生々しい響きがあります。ティンパニの響きは豪快で驚きの響きです。また大雨がきて、雲が流れていく様子も感じられます。コーダの遠雷の表現はスティックの交換で素晴らしい演奏です。結尾のオーボエとフルートは素晴らしい演奏です。第5楽章の「嵐のあとの感謝の気持ち」はクラリネットに続くホルンの美しい響きが素晴らしいです。そして「牧人の歌」は喜びにあふれています。主題の変奏もよい響きになって素晴らしい「田園」です。コーダの素晴らしい演奏、ホルンのソロも大変きれいに響きます。これは生々しい名演奏です。

 交響曲第2番は第1楽章の序奏では気迫に満ちた演奏、主部のアレグロ・コン・ブリオは勢いのある演奏で、オーケストラの統率されたアンサンブルは見事なものです。録音が良いのでティンパニの響きが素晴らしいです。第2楽章のラルゲットは美しい主題が歌われます。弦楽と管楽器の美しい演奏が聴かれます。第3楽章のスケルツォはベートーヴェンの作品の華やかさを感じさせてくれます。管楽器の素晴らしい演奏が聴きどころです。トリオの演奏も圧倒的に素晴らしい響きです。第4楽章はアレグロ・モルトで勢い良く進むオーケストラはこの作品の楽しさを教えてくれます。聴くほどにこの演奏には耳を奪われます。名演です

 交響曲第7番は第1楽章の冒頭ズシーンとくる和音がきれいです。そしてオーボエのソロもまたきれいです。ホルンも良い響きです。序奏はこの曲の重要な部分です。ティンパニの響きも凄いです。弦楽とフルートとオーボエのソロが素晴らしい演奏をしています。提示部のフルートのソロから全合奏におけるホルンの響きが大変素晴らしい。また弦楽セクションのうまさは抜群で、ティンパニの響きも目立ちます。提示部のリピートがあります。展開部においてはこの作品の特徴、同じフレーズの繰り返しが圧倒します。再現部の素晴らしい響きも圧巻、ホルンの響きに続くコーダでは低弦のフレーズの連続が凄い響きです。終結のホルンの響きが圧倒的に素晴らしいです。感動的な演奏です。第2楽章:アレグレットは静かに始まる弦楽の主題と、続く対旋律の美しさが聴きどころです。管楽器が加わる全合奏は感動的です。ティンパニの響きも効果的です。中間部の管楽器の演奏は素晴らしいもので、ホルンが大変きれいに響きます。コーダの木管は良い響きで終結も感動的です。第3楽章:スケルツォはプレストのリズムとトリオが交互にきますが、木管の活躍は素晴らしいものです。トリオは速めのテンポですが、メロディが単純で、そこに対旋律が入ることで素晴らしい音楽になっています。ホルンの活躍があります。全合奏の響きの素晴らしさは見事です。フィナーレは速いテンポで進みます。ホルンのハイトーンは大変良い響きです。この楽章はオーケストラのバランスの良さ、勢いのある抜群の演奏を聞かせてくれます。弦楽の鮮やかな演奏も素晴らしいです。ティンパニの響きも豪快なもので、圧倒します。展開部も迫力の演奏、再現部からコーダまでの素晴らしい響き、終結はホルンが素晴らしい響きです。これは圧倒的な名演です。

 ピアノ、ヴァイオリンとチェロのための三重協奏曲はピアノ・トリオと管弦楽のための協奏曲です。3つの楽章で構成され、第1楽章:アレグロ、第2楽章:ラルゴ、第3楽章:ロンド・アラ・ポラッカとなっています。第1楽章ではオーケストラの響きがベートーヴェンの魅力あふれるものです。そしてチェロの美しい響きは圧巻です。長い楽章は圧倒的な響きに感動です。第2楽章ではピアノの温かい響きに癒されます。ピアノ・トリオの良い響きが魅力です。第3楽章はオーケストラと共に圧倒的な響きと、ポラッカの楽しい響きが聴きどころです。名演奏です。
 (CD1は2006年発売の英国盤全集、CD2は2006年発売の英国盤)


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