シューマン/アダージョとアレグロ

アレクサンデル・シェベスチク(2008)
CD(DUX DUX0706)

QUATTROCORNO
1.F・D・ヴェーバー/ホルン四重奏曲第1番
2.ロッシーニ/前奏曲、主題と変奏曲
3.シューマン/アダージョとアレグロOp70
4.リムスキー・コルサコフ/ノットゥルノ
5.ローウェル・ショー/フリッパリーズ第1〜第4番
6.ジェンキンス/コラール第1番&第3番
7.ブッキ/即興曲
   (シェベスチク編:2、3、6&7)

 アレクサンデル・シェベスチク(ホルン)(多重録音)
  録音 2008年
 
 アレクサンデル・シェベスチクはポーランドのホルン奏者。11歳でホルンを吹き始め、ショパン音楽院卒業後ワルシャワ・フィルハーモニーのホルン奏者として入団、ホルンはズデニェク・ティルシャル、ヘルマン・バウマンなどに師事しています。
 このアルバムは一人四重奏の大変な録音です。オリジナルのホルン四重奏ではそれぞれのパートを吹いて多重録音していますが、ロッシーニとシューマンの2曲はもともとホルンとピアノのための作品ですからピアノ・パートをホルン3本用に編曲しなければなりません。その編曲をシェベスチク自身が手がけています。ロッシーニの「前奏曲、主題と変奏曲」ではホルン伴奏によるホルン・ソロが演奏されますが、ソロなのか伴奏なのかわからない部分があって大変面白いです。このロッシーニは聞きものです。
 シューマンの「アダージョとアレグロ」も同様で、ホルン・ソロとピアノ・パートのホルンがからみあい、交錯して全く別のホルン・ソロができています。これは面白いを通り越して良い作品になっています。アダージョもさることながら、アレグロではピアノのリズムをホルンが刻むという絶妙なアンサンブルが凄い音楽になっています。まさに前代未聞の演奏です。最後の結尾のホルンのフレーズは数珠繋ぎになってシューマンも唖然でしょう。
 リムスキー・コルサコフのノットゥルノ(夜想曲)は原曲もホルン四重奏の小品です。ローウェル・ショーのフリッパリーズはアメリカのショーによるホルン四重奏作品です。1番からスイング・ジャズ風の音楽が流れます。見事な一人四重奏によるアンサンブルです。
 ジェンキンスとブッキの作品はオリジナル作品自体聞いたことがありませんが、ホルン四重奏に編曲してできた音楽の素晴らしさに感動です。
 この驚きのアルバムは一人で四重奏の録音ですから音色が同じであるためにロッシーニとシューマンの2曲は全く別の作品を聞いているかのようです。ホルンのメロディをピアノが受ける、またはこだまの部分がホルンで吹かれますので新たなメロディになっています。


トップへ
戻る
前へ
次へ