1980〜1999年の演奏

クリスティアン・ティーレマン/フィルハーモニア管弦楽団(1996)
CD(DGG 449 981-2)

1.ベートーヴェン/交響曲第5番ハ短調Op67「運命」
   7:55/11:43/5:57/10:52
   (第1楽章、第4楽章リピート:原典版)
2.  〃   /交響曲第7番イ長調Op92

  クリスティアン・ティーレマン指揮
   フィルハーモニア管弦楽団
  録音 1996年7月

 ティーレマンがフィルハーモニア管弦楽団と録音したベートーヴェンの2つの交響曲です。
 交響曲第5番「運命」は第1楽章冒頭の重厚な響きが素晴らしく、フェルマータはたっぷりとのばしています。ホルンのファンファーレも素晴らしい響きです。展開部の流れも素晴らしく、管楽器と弦のバランスの良さ、レガートの美しさがあります。オーボエのカデンツァもきれいです。再現部ではファゴットのファンファーレを原典版のとおり吹いています。コーダでは主題のテンポを落してフェルマータをたっぷりのばしています。第2楽章はゆったりとしたテンポで主題を表情豊かに歌っています。木管は大変良い響きを出しています。低弦の響きも厚いです。第1変奏の美しい響き、そしてフルートの響きがきれいです。第2変奏の美しい響き、ファゴットとクラリネットの美しさ、全合奏の厚い響きがあります。木管四重奏の美しさは素晴らしいものです。クライマックスのあとに続く第3変奏の木管の良い響き、そして全合奏の厚い響きも聴きもの。コーダのリタルダンドとたっぷり伸ばしているところは見事です。第3楽章の序奏はやや遅めのテンポで演奏する弦楽に続くホルンの主題がよい響きです。フーガの演奏は弦の見事な演奏があります。後半の弱奏からフィナーレまでは緊張感があります。フィナーレの冒頭は遅めのテンポで堂々とした演奏です。ホルンの厚い響きも素晴らしいものです。提示部のリピートがあります。展開部では管楽器の響きもよく、弦楽とのバランスの良さ、感動的な演奏です。第3楽章の回想の遅めのテンポと弦の響きオーボエの美しさもたまりません。再現部も重厚な演奏です。コーダの和音とホルンの主題は実にきれいです。ピッコロの響きもまたきれいです。プレストからは圧倒的な演奏でした。最後のフェルマータの長さが素晴しい。完璧な演奏でした。感動ものです。
 交響曲第7番は第1楽章序奏の重厚な響きとホルンのやわらかな響きがきれいです。弦楽の上昇フレーズの連続は聴きものです。刻みのあざやかなこと、管楽器の美しさがあります。提示部のフルートもきれいです。全合奏におけるホルンの素晴らしい響きは聴きもの、展開部の弦楽の厚みのある響き、管楽器のうまさ、再現部では迫力のある演奏が聴かれます。コーダの低弦のフレーズの響きの素晴らしさ、ホルンのハイトーンも聴きものです。第2楽章の「アレグレット」は弦楽の響きのよさ、対旋律の美しさがあります。管楽器が加わると感動的な響きになります。ホルンもきれいです。中間部の管楽器の演奏は素晴らしいです。コーダの強弱の付け方には感動です。最後はテンポを落してきれいに終わります。第3楽章の「プレスト」は軽快な演奏で勢いのある演奏です。管楽器は大活躍です。トリオは遅めのテンポでホルンがきれいに響きます。これは素晴らしい演奏です。第2トリオも感動的な演奏です。最後もテンポを落として素晴らしい終わりかたです。第4楽章「アレグロ・コン・ブリオ」は快速なテンポで重厚な響きが聴かれます。ホルンのハイトーンも大変よく響きます。聞くほどにこの演奏には惹かれます。展開部から再現部の素晴らしい演奏、勢いのある演奏はメリハリをつけたものです。コーダの金管の迫力は絶品。ティーレマンの読みの深さ、20世紀の巨匠のような演奏には感服でした。思わず拍手でした。


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