2000年代の演奏

ズビン・メータ/イスラエル・フィルハーモニー管弦楽団(2009)
CD(helicon 02-9628)

1.ベートーヴェン/交響曲第5番ハ短調Op67「運命」
            (第1楽章リピート:原典版)
2.   〃   /「プロメテウスの創造物」序曲Op43
3.   〃    /交響曲第6番ヘ長調Op68「田園」

  ズビン・メータ指揮
   イスラエル・フィルハーモニー管弦楽団
   録音 2009年7月8〜16日ライヴ

 メータの「運命」と「田園」です。メータの「運命」は1978年のニューヨーク・フィル、1990年のベルリン・フィル&イスラエル・フィルの合同演奏以来の録音でした。イスラエル・フィルはメータが終身音楽監督をつとめており、1968年から指揮をしているだけに自分のオーケストラとの録音はメータの集大成といえましょう。
 交響曲第5番「運命」はやや遅めのテンポの第1楽章は冒頭の主題が20世紀の演奏を踏襲したものです。フェルマータは短いです。ホルンのファンファーレはホール一杯に響き渡ります。弦楽のレガートがきれいです。展開部では弦楽のレガート、管の穏やかな響きがあります。再現部のファンファーレはファゴットで吹いています。コーダへの経過部の響きは厚みがあります。コーダはテンポの変化はなく颯爽とした演奏です。第2楽章は程よいテンポで歌う主題がきれいです。また木管が大変きれいに響いています。木管四重奏は大変よく響きます。
 第3楽章は序奏で絶妙なリタルダンドとホルンの主題がきれいです。フーガは低弦の厚みと見事な演奏が素晴らしい。フィナーレは重厚な響きが冒頭で聞かれます。ホルンと木管の主題も厚みがあります。経過部における弦のスフォルツァンド効果は見事です。やや遅めのテンポは展開部で内声部の動きがはっきり聞こえてきます。第3楽章の回想もきれいです。再現部は素晴らしい盛り上がりをみせます。コーダの和音の連続、ホルンの主題がきれいです。ピッコロも良く響きます。プレストからの金管の強奏は圧倒的です。
 「プロメテウスの創造物」序曲は重厚な序奏とさわやかな主部がききものです。
 交響曲第6番「田園」は冒頭から理想的なテンポです。速すぎず遅すぎず、田園についたときの晴れやかな気持ちをきれいに表現しています。第1楽章ではホルン以外の金管やティンパニが入りませんので響きがさわやかです。同じフレーズの連続が特徴のこの楽章はやはり素晴らしい響きです。弦楽のうまさが際立っています。第2楽章「小川のほとりの情景」は管楽器の響きと弦楽の交錯が素晴らしい。コーダの夜うぐいす、うずら、カッコーの演奏も素晴らしい。第3楽章は歯切れ良い演奏で、オーボエ、クラリネット、ホルンと続く主題の流れは見事です。第4楽章「嵐と雷雨」ではティンパニの強打、豪雨の表現が見事です。遠雷から嵐のあとの感謝の気持ちを歌う「牧人の歌」への流れもきれいです。


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