1950年代の演奏

ウィレム・ファン・オッテルロー/ウィーン交響楽団(1958)

LP(PHILIPS SFW3〜4)ステレオ
 ベートーヴェン/交響曲第5番ハ短調Op67「運命」
   7:19/10:20/13:53
   (第1楽章リピート:ワインガルトナー版)
CD(CHALLENGE CLASSICS CC72383)
 ベートーヴェン/交響曲第5番ハ短調Op67「運命」
   7:19/10:19/5:11/8:37
   (第1楽章リピート:ワインガルトナー版)

 ウィレム・ファン・オッテルロー指揮
   ウィーン交響楽団
   録音 1958年2月23〜26日

 オランダの指揮者オッテルローは1953年にウィーン交響楽団と「田園」を録音していました。モノラルですがとても温かい雰囲気の名演でした。この「運命」はステレオ録音です。レコードは2枚組でオッテルローは運命だけでした。これは1973年4月発売です、2010年にCD化されていました。初めて聞いたときの印象はとても柔らかくて温かい響きの運命だったということです。なおオッテルローは70年代にシドニー交響楽団と「運命」などを録音していました。   

  交響曲第5番第1楽章は速めのテンポですが、冒頭のテーマではフェルマータをたっぷり伸ばしていました。驚くのはオーケストラの響きで、やわらかいのです。これはレガート気味の演奏のためと思いますが、力まない演奏が圧迫感のない温かい響きを作ってると思われます。ウィンナホルンもやわらかできれいな響きでした。展開部も良い響きです。ウィンナオーボエのカデンツァもチャーミングです。コーダでは運命のテーマをしっかり強調していました。
 第2楽章はゆったりとしたテンポで弦楽器の主題がとても美しい響きを出していました。木管も同じです。四重奏の美しさはいうまでもありません。第3変奏は木管がレガート気味に演奏しているのが印象的でした。温かい響きのきれいな楽章でした。
 第3楽章も美しい響きの演奏でした。フーガはとてもさわやかで、それでいて見事なアンサンブルです。後半のピチカートと木管の響きがきれいです。また324小節からのppでティンパニのリズムがはっきり聞えて驚きます。
 フィナーレ冒頭は管を抑え気味にしてバランスの良い響きを出していましたがホルンの主題は朗々と響かせていました。やはり強調すべきところはきちんとやっています。ホールがよく響いてくれてオケがよく鳴ります。展開部がこれほど美しい演奏はなかなかありません。第3楽章の回想はオーボエが切なく響いています。再現部からコーダも見事でした。和音が残響豊かに響いてなんとも言えません。
 全曲を通して温かい響きの演奏という印象は変わりませんでした。30年前と印象が同じで良かったです。


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