2000年代の演奏

マイケル・ティルソン・トーマス/サンフランシスコ交響楽団(2009)
SACD(SFS SFS-0037)

1.ベートーヴェン/交響曲第5番ハ短調Op67「運命」
      (7:58/9:34/4:41/11:07)
      (第1楽章&第4楽章リピート:原典版)
2.   〃    /ピアノ協奏曲第4番ト長調Op58

  エマニュエル・アックス(ピアノ)(2) 
  マイケル・ティルソン・トーマス指揮
   サンフランシスコ交響楽団
   録音 2009年12月9〜12日ライヴ

 マイケル・ティルソン・トーマスのベートーヴェンです。トーマスは1995年からサンフランシスコ交響楽団の音楽監督をつとめており、数々の録音を残しています。「運命」は1980年のイギリス室内管弦楽団との録音以来29年ぶりでした。
 交響曲第5番「運命」は遅めのテンポの第1楽章はレガート奏法で切れ目のない演奏です。奥深い響きの提示部は大変きれいで、ホルンのファンファーレはホール一杯に響き渡ります。展開部では弦楽と管の豊かな響きが素晴らしい。オーボエのカデンツァはアダージョできれいな演奏です。再現部のファンファーレはファゴットで吹いていますがゆったりとレガートできれいな響きです。コーダへの経過部の響きは厚みがあります。コーダは圧倒的で切れ目なく終結します。
 第2楽章は程よいテンポですが表情豊かに歌う主題がきれいです。また木管が大変きれいに響いています。全合奏はレガートで演奏しています。第1変奏の上に木管が美しい響きを出してくれます。低弦の厚みが素晴らしい。第2変奏にのるクラリネットとファゴットがきれいです。木管四重奏は流麗で大変よく響きます。第3変奏の木管では8分音符を伸ばしています。集結はゆったりとしています。
 第3楽章は速いテンポでリタルダンドもそこそこにホルンの主題に突入しています。フーガは低弦の厚みと見事なアンサンブルが素晴らしい。フィナーレは圧倒的な響きが冒頭で聞かれます。ホルンと木管の主題も厚みがあります。経過部のレガートも特徴的です。提示部のリピートがあります。展開部では弦楽のうまさ管楽器の響きが素晴らしい。第3楽章の回想もきれいです。オーボエが素晴らしい。再現部は厚みのある演奏で素晴らしい盛り上がりをみせます。コーダの和音の連続、ホルンの主題がきれいです。ピッコロが大変良く響きます。プレストからの緊張感と圧倒的な演奏が素晴らしい。最後のフェルマータではティンパニのクレッシェンドがあります。
 ピアノ協奏曲第4番は冒頭アックスがアルペッジョで始めるというところに驚きます。提示部における弾けるようなピアノの響きは大変美しく、改めてこの作品の素晴らしさを感じます。2曲ともにベートーヴェンは同じ日に初演していました。第3楽章の明るさ、希望に満ちたメロディは最も充実していた時期の作品らしく感動しきりです。


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