1980〜1999年の演奏

朝比奈 隆/新日本フィルハーモニー交響楽団(1997)
CD(fontec FOCD9785)

ベートーヴェン/交響曲集
1.交響曲第5番ハ短調Op67「運命」
  (8:52/11:10/5:45/12:58)
  (第1楽章、第4楽章リピート:原典版)
2.交響曲第8番ヘ長調Op93

  朝比奈隆指揮
   新日本フィルハーモニー交響楽団
   録音 1997年11月12日(1)
       1998年3月16日(2)
      サントリーホール・ライヴ

 このアルバムは朝比奈隆のベートーヴェン交響曲、8度目の全集となったライヴの1枚です。
 交響曲第5番「運命」は遅めのテンポの第1楽章は冒頭の主題そして長いフェルマータが大変きれいです。弦楽の温かな響き、ホルンのファンファーレも良い響きです。展開部では弦楽の美しさはテンポが遅めのためです。朝比奈が引き出すこの響きは感動です。弦と管の対話が素晴らしい。オーボエのカデンツァから再現部の淀みない演奏は朝比奈らしいうまさがあります。再現部のファゴットのファンファーレもきれいです。そしてそこからは緊張感があります。コーダの主題はフェルマータが長いです。この感動が素晴らしいです。第2楽章は弦楽の美しい主題で始まります。管楽器が入ってその主題の歌い方に感動です。第1変奏の流麗な演奏もきれいです。バックのクラリネットの響きもいいです。第2変奏では弦の流麗な演奏と、バックのクラリネットとファゴットも良い響きでです。木管四重奏は大変きれいに響いています。そしてクライマックスの重厚な響きは素晴らしいです。第3変奏の切ないまでの美しい響きはたまりません。コーダまでの素晴らしい演奏は朝比奈らしいです。第3楽章はホルンの主題がきれいです。速すぎず程よいテンポです。フーガは弦楽の見事なアンサンブルが素晴らしい。そしてフィナーレまでの経過部は緊張感があります。第4楽章のフィナーレはこれがベートーヴェンという重厚な響きを出しています。弦楽の鮮やかな響きが素晴らしい。提示部のリピートがあります。オーケストラの重厚な響きはますます素晴らしくなります。展開部では明るい響きのフルート、トロンボーンの迫力が印象に残ります。第3楽章の回想はオーボエのソロがきれいです。再現部では管楽器の圧倒的な響きが凄いです。コーダの和音の連続、そしてファゴットに続くホルンの主題はきれいな響きです。プレストからの演奏は圧倒的で、終結まで一気に演奏しています。ティンパニの響きには感動でした。
 交響曲第8番は冒頭から厚みのある素晴らしい響きを出しています。この第1楽章から深みのある響きを出してこの作品の魅力を教えてくれます。第2楽章:スケルツァンドの軽やかな演奏は、メトロノームが刻むようなリズムにのって楽しそうです。第3楽章のメヌエットは上昇する主題が明るいです。トリオのホルンの二重奏はこの作品の聴きどころです。クラリネットとのからみが良い響きです。第4楽章のアレグロ・ヴィヴァーチェは重厚な響きと木管楽器の美しい響きが素晴らしい見事な演奏です。 


トップへ
戻る
前へ
次へ