1950年代の演奏

フランツ・コンヴィチュ二ー/ライプツィヒ・ゲヴァントハウス管弦楽団(1958)
CD−R(World Music Express VME−M−CDR−1220/1)

1.ブラームス/ヴァイオリン協奏曲ニ長調Op77
       第1&第2楽章(カデンツァ:ヨアヒム)
2.R・シュトラウス/ティル・オイレンシュピーゲルの
             愉快ないたずらOp28
3.シューマン/ピアノ協奏曲イ短調Op54
4.ベートーヴェン/交響曲第5番ハ短調Op67
  7:46/10:20/5:30/8:26(32分02秒)
    (第1楽章リピート:原典版)

   ダヴィド・オイストラフ(ヴァイオリン)(1)
   リリアン・カリア(ピアノ)(3)
  フランツ・コンヴィチュ二ー指揮
   ドレスデン・シュターツカペレ(1)
  ライプツィヒ・ゲヴァントハウス管弦楽団(2〜4)
   1958年5月ライヴ録音(1)
   1958年4月ライヴ録音(2〜4)

 このアルバムはコンヴィチュニー指揮のライヴ録音集です。 
 オイストラフのドイツ演奏旅行の中の1つブラームスのヴァイオリン協奏曲が収録されていますが、ドレスデンのライヴは3楽章が収録されておりません。テープの問題でしょう。しかしながら、このライヴのオイストラフはここでも絶品演奏を繰り広げていました。1楽章のソロ開始ではテンポを若干落としてテンポアップしています。このにくいまでの表現力がとても効果的です。その美しい音はいかにモノラルで音質がよくなくても見事にホールに響き渡っています。つやのある音で聴く展開部も素晴らしいです。第2楽章の序奏はまさにコンヴィチュ二ーの作り出すブラームスの響きです。オーボエの響きにうっとりです。ヴァイオリン・ソロが始まるとそこはオイストラフの世界でいつも変わらないその奥深い音楽があります。なんともいえないブラームスがあります。第3楽章がないのが惜しいのですが、無くてもよいほど十分堪能できます。   
 R・シュトラウスの「ティル・オイレンシュピーゲルの愉快ないたずら」はやや速めのテンポですがホルンのうまさが際だつ名演です。当時の首席ホルンはエーリヒ・ペンツェルでした。
 シューマンのピアノ協奏曲はリリアン・カリアのピアノが良い響きで表現力も良いと思います。
 ベートーヴェンの交響曲第5番「運命」は1958年4月のライヴです。重厚な響きの第1楽章冒頭はライプツィヒの伝統の響きを出しています。主題を丁寧にザザザザーンと演奏していて運命のスタンダードでしょう。ホルンのファンファーレもしっかりアクセントを付けています。展開部は流れるような演奏です。運命の主題はしっかり強調、フェルマータも長いです。再現部のファンファーレはファゴットでした。コーダの運命の主題もしっかり強調しています。
 第2楽章から若干ノイズが入りますが演奏の素晴らしさは変わりません。木管四重奏のやわらかな音色も聞き物でしょう。第3楽章のホルンの主題は見事な響きでした。フーガの見事な流れも素晴らしい。フィナーレの冒頭の響きはこの曲の理想的な響きになっています。ティンパニの重い音とオーケストラのバランスの良さが見事です。ホルンの主題の音量も抜群。展開部の流れも素晴らしいものになっています。第3楽章の回帰は遅めのテンポが印象的です。再現部の厚い響きも凄いです。コーダのホルンの主題もきれいです。プレストからの演奏も圧倒的で、最後のフェルマータまで息もつけないほどの緊張感があります。


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