第七交響曲

ヘルベルト・ブロムシュテット/ドレスデン・シュターツカペレ(1975)



CD1(BRILLIANT 99927) 全集
CD2(BERLIN Classics 0185332BC)
CD3(Deutsche Schallplatten KICC9403) 
CD4(Deutsche Schallplatten TKCC-70001) 

 ベートーヴェン/交響曲全集
CD1-3&CD2
1.交響曲第5番ハ短調Op67「運命」
  (第1楽章、第3楽章リピート:ギュルケ版)
2.交響曲第6番ヘ長調Op68「田園」
  ヘルベルト・ブロムシュテット指揮
    ドレスデン・シュターツカペレ
  録音 1977年3月14〜18日(1)
      1977年6月6〜9日(2)
CD3
1.交響曲第5番ハ短調Op67「運命」
 (第1楽章、第3楽章リピート:ギュルケ版)
2.交響曲第8番ヘ長調Op93
  ヘルベルト・ブロムシュテット指揮
    ドレスデン・シュターツカペレ
  録音 1977年3月14〜18日(1)
      1978年2月14〜16日(2)
CD1−4
1.交響曲第7番イ長調Op92
2.交響曲第8番ヘ長調Op93
  ヘルベルト・ブロムシュテット指揮
    ドレスデン・シュターツカペレ
  録音 1975年2月24〜26日(1)
      1978年2月14〜16日(2)
CD4
1.交響曲第1番ハ長調Op21
2.交響曲第5番ハ短調Op67「運命」
 (第1楽章、第3楽章リピート:ギュルケ版)
  ヘルベルト・ブロムシュテット指揮
    ドレスデン・シュターツカペレ
  録音 1979年12月19〜21日(1)
      1977年3月14〜18日(2)

 ブロムシュテットがドレスデン・シュターツカペレを指揮したベートーヴェン交響曲全集の中の2枚と1枚ものです。これがブロムシュテット最初のベートーヴェン交響曲全集でした。
 交響曲第5番「運命」は第1楽章冒頭は重厚な響きで、フェルマータは若干のクレッシェンド気味でしっかり伸ばしています。ホルンのファンファーレは明るい響きがきれいです。展開部は弦楽と管楽器のバランスのよい見事な演奏です。ティンパニも良い響き、オーボエのカデンツァもきれいです。再現部のファゴットのファンファーレはファゴットによる演奏です。コーダまでの力強い演奏は素晴らしいものです。フェルマータはたっぷり伸ばしています。第2楽章はやや遅めのテンポで主題を丁寧に歌っています。弦楽の美しさがあります。木管も良い響きです。第1変奏の美しい響き、全合奏の厚い響きと低弦の力強さ、第2変奏においても同様で、ファゴットとクラリネットの良い響きが聴かれます。木管四重奏の美しい響き、そしてクライマックスも聴きものです。木管の第3変奏もきれいな響きです。そしてコーダはテンポを落して感動的な演奏です。第3楽章は序奏に続くホルンの明るい響きが素晴らしい。この楽章の厚い響き、フーガの力強い弦楽の演奏、低弦の力強さがあります。ギュルケ版は提示部のリピートがあります。コーダまでの緊張感、木管の美しい響き、これが素晴らしい。フィナーレは冒頭の重厚な響き、ホルンの良い響き、提示部の厚い響きは聴きものです。展開部の響きの良さ、第3楽章の回帰の美しい響き、再現部の緻密な演奏と感動的な演奏が続きます。コーダのホルンの主題とピッコロの素晴らしい響きが聴きものです。プレストから終結までの圧倒的な演奏、最後のフェルマータも感動的です。

 交響曲第6番「田園」は第1楽章の冒頭から美しい響きです。そして一気に盛り上げていきます。オーボエが良い響きです。全合奏は良い響きです。展開部はフレーズの繰り返しがあります。弦楽と管楽器の美しい響きが聴かれます。再現部は弦楽と管楽器のバランスのよい演奏です。コーダのクラリネットが大変きれいに響きます。最後はたっぷり伸ばしています。第2楽章の「小川のほとりの情景」は小川の流れを感じさせる弦楽の動きがきれいに響きます。管楽器の響きもきれいです。ファゴットに始まる第2主題が小川の流れの良さを感じさせます。続く弦楽も素晴らしい響きです。再現部のフルート、オーボエの歌は鳥の鳴き声のように聞こえます。コーダのフルート、オーボエ、クラリネットが歌う小鳥の鳴き声は素晴らしい演奏です。終結も良い響きです。第3楽章のアレグロは快適な演奏です。オーボエ、クラリネット、ホルンと続くソロは素晴らしい響きです。トリオの迫力ある演奏はまるで踊っているかのようです。第4楽章の「嵐」は嵐の前の静けさから一気に嵐の大雨になる様子、ティンパニの雷鳴と生々しい響きがあります。ティンパニの響きは豪快で見事なものです。また大雨がきて、雲が流れていく様子も感じられます。コーダの遠雷の表現は見事です。第5楽章の「嵐のあとの感謝の気持ち」はクラリネットに続くホルンの美しい響きでよく表れています。そして「牧人の歌」は喜びにあふれています。主題の変奏もよい響きになって素晴らしい「田園」です。コーダの素晴らしい演奏、ホルンのソロも大変きれいに響きます。

 交響曲第7番は第1楽章の冒頭ズシーンとくる和音がきれいです。遅めのテンポでオーボエのソロもまたきれいです。ダムのホルンがゆったりと聞かれます。序奏はこの曲の重要な部分です。フルートとオーボエのソロが絶品の演奏をしています。提示部のフルートのソロから全合奏におけるホルンの響きが大変素晴らしい。これぞ第七です。また弦楽セクションのうまさは抜群で、あらためてこの第七の魅力を感じます。展開部においてはこの作品の特徴、同じフレーズの繰り返しが圧倒します。再現部の素晴らしい響き、ホルンの響きに続くコーダでは低弦のフレーズの連続が凄いです。終結のホルンの響きが圧倒的に素晴らしい。第2楽章:アレグレットは引きずるような弦楽の足取りと続く対旋律の美しさが聴きどころです。管楽器が加わる全合奏は感動的です。中間部の管楽器の演奏は素晴らしいもので、ホルンがきれいです。終結も感動的です。第3楽章:スケルツォはプレストのリズムとトリオが交互にきますが、このトリオのメロディが単純で、そこに対旋律が入ることで凄い音楽になっています。ホルンの活躍があります。ベートーヴェンという作曲家が音楽の「構築」にこだわった典型的な作品と言えるでしょう。フィナーレは速いテンポで進みます。ホルンのハイトーンは迫力があります。この楽章は演奏はきつそうですが、このオーケストラは抜群の演奏を聞かせてくれます。展開部も迫力の演奏、再現部からコーダまでの素晴らしい響き、終結も感動的です。これは超名演です。

 交響曲第8番は第1楽章の弦楽の華やかさが聴きものです。深みのある響き、木管のユニゾーンもきれいです。提示部のリピートがまたきれいな演奏です。展開部から再現部の厚い響きも素晴らしいです。コーダのティンパニの響きは見事なものです。第2楽章のスケルツァンドはメトロノームのようなリズムを刻むのが特徴です。快適なテンポで演奏しています。メリハリのある弦楽の緻密な演奏はここも素晴らしいものです。第3楽章のメヌエットは大変良い響きでファゴットの響きもきれいです。トリオのホルンの二重奏の美しい演奏とクラリネットの響きの美しさは素晴らしい響きです。ダムのホルンが聴けるこのメヌエットは素晴らしい響きです。第4楽章はアレグロ・ヴィヴァーチェ、弦楽の刻みの素晴らしい響きと、勢いのある演奏が素晴らしい。オーケストラの鮮やかな演奏は、ここも絶品です。残響の良さとアンサンブルの良さは抜群です。このブロムシュテットの第8番は感動的で大変な名演奏です。

 交響曲第1番は第1楽章の序奏はゆったりと重厚な響きです。提示部は弦楽と管楽器の緻密な演奏できれいなものです。展開部はフルートの美しい響き、弦楽のさわやかな響きと、きれいな演奏です。終結は見事な響きでした。第2楽章のアンダンテ・カンタービレは穏やかなワルツのような演奏ですが、美しい主題を華麗に歌っています。後半はフルートの美しい響きが際立っています。終結のホルンがきれいな響きです。第3楽章はアレグロ・モルト・エ・ヴィヴァーチェで勢いのある演奏です。ティンパニの響きも素晴らしいです。トリオは落ち着いた演奏で、このメリハリを付けた演奏には感動です。第4楽章は序奏の静寂と主部のアレグロ・モルト・エ・ヴィヴァーチェの勢いのある演奏は素晴らしいものです。展開部の弦楽と管楽器の緻密な演奏、若き日のベートーヴェンの傑作を素晴らしい演奏でまとめています。ブロムシュテットの演奏には感服です。

(CD1は2002年発売のオランダ盤全集、CD2は2006年発売のドイツ盤、CD3は2006年発売の国内盤、CD4は1993年発売の国内盤)


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