第七交響曲

ベルナルト・ハイティンク/ロンドン・フィルハーモニー管弦楽団(1975)

CD1(DECCA DN0027) 全集
CD2(PHILIPS PHCP-10139)

 ベートーヴェン/交響曲全集
CD1-3&CD2
1.交響曲第5番ハ短調Op67「運命」
  (第1楽章リピート:原典版)
2.交響曲第6番ヘ長調Op68「田園」
  ベルナルト・ハイティンク指揮
  ロンドン・フィルハーモニー管弦楽団
  録音 1975年8月15〜20日(1&2)
CD1−4
1.交響曲第7番イ長調Op92
2.交響曲第8番ヘ長調Op93
  ベルナルト・ハイティンク指揮
  ロンドン・フィルハーモニー管弦楽団
  録音 1975年8月15〜20日(1)
      1976年5月14〜17日(2)

 ハイティンクがロンドン・フィルハーモニー管弦楽団を指揮したベートーヴェン交響曲全集の中の2枚です。これがハイティンク最初のベートーヴェン交響曲全集でした。
 交響曲第5番「運命」は第1楽章冒頭は速めのテンポで重厚な響きです。フェルマータは短めです。ホルンのファンファーレは明るい響きがきれいです。第2主題がきれいに響きます。展開部は弦楽と管楽器のバランスのよい見事な演奏です。間は置かない勢いのある演奏です。オーボエのカデンツァはきれいです。再現部のファゴットのファンファーレはファゴットによる演奏です。コーダまでの力強い演奏は素晴らしいものです。ティンパニの響きも素晴らしいです。なお454小節のホルンは四分音符2つですが、これを2分音符に変えて演奏していました。コーダのフェルマータはしっかり伸ばしています。圧倒的な終わり方です。第2楽章は程よいテンポで主題を丁寧に歌っています。弦楽の美しさがあります。木管も良い響きです。低弦の厚い響きもあります。第1変奏の美しい響き、木管の美しい響き、全合奏の厚い響きと低弦の力強さ、第2変奏においても同様で、ファゴットとクラリネットの良い響きが聴かれます。木管四重奏の美しい響き、そしてクライマックスも聴きものです。ティンパニの響きも素晴らしいです。木管の第3変奏もきれいな響きです。そして迫力の経過部とファゴットの第4変奏もきれいです。コーダは圧倒的な響きです。第3楽章は序奏に続くホルンの明るく力強い響きが素晴らしい。フーガの力強い弦楽の演奏、低弦の力強さがあります。コーダからフィナーレまでの緊張感、ホルンや木管の美しい響き、これが素晴らしい。フィナーレは冒頭の重厚な響き、ホルンの力強い演奏、提示部の厚い響きは聴きものです。展開部の響きの良さ、中でもヴァイオリンの明るい響きは突出しています。第3楽章の回帰の美しい響き、オーボエの響きの良さ、再現部は圧倒的な響きと感動的な演奏が続きます。コーダのホルンの主題とピッコロの素晴らしい響きが聴きものです。
プレストから終結までの圧倒的な演奏、最後のフェルマータはティンパニの一打で終わる感動的な演奏です。

 交響曲第6番「田園」は第1楽章の冒頭から美しい響きです。そして一気に盛り上げていきます。オーボエが良い響きです。全合奏も良い響きです。ホールの残響がきれいに響きます。提示部のリピートがあります。展開部はフレーズの繰り返しがあります。弦楽と管楽器の美しい響きが聴かれます。実に素晴らしい響きです。再現部は弦楽と管楽器のバランスのよさは素晴らしいです。ホルンがきれいに響きます。コーダのクラリネットがきれいに響きます。最後はたっぷり伸ばしています。第2楽章の「小川のほとりの情景」は小川の流れを感じさせる弦楽の動きがきれいに響きます。管楽器の響きもきれいです。ファゴットに始まる第2主題が小川の流れの良さを感じさせます。続く弦楽も素晴らしい響きです。中間部のクラリネットの美しい響きは感動的です。再現部のフルート、オーボエの歌は鳥の鳴き声のように聞こえます。ファゴットも良い響きです。コーダのフルート、オーボエ、クラリネットが歌う小鳥の鳴き声は素晴らしい演奏です。終結も良い響きです。第3楽章のアレグロは快適な演奏です。オーボエ、クラリネット、ホルンと続くソロは素晴らしい響きです。特にホルンはきれいに響きます。トリオの迫力ある演奏も素晴らしい響きです。第4楽章の「嵐」は嵐の前の静けさから一気に嵐の大雨になる様子、ティンパニの雷鳴と生々しい響きがあります。ティンパニの響きは豪快で見事なものです。また大雨がきて、雲が流れていく様子も感じられます。コーダの遠雷の表現は見事なものです。結尾のオーボエとフルートは素晴らしい演奏です。第5楽章の「嵐のあとの感謝の気持ち」はクラリネットに続くホルンの美しい響きが素晴らしいです。そして「牧人の歌」は喜びにあふれています。主題の変奏もよい響きになって素晴らしい「田園」です。コーダの素晴らしい演奏、ホルンのソロも大変きれいに響きます。これは名演奏です。

 交響曲第7番は第1楽章の冒頭ズシーンとくる和音がきれいです。そしてオーボエのソロもまたきれいです。ホルンも良い響きです。序奏はこの曲の重要な部分です。弦楽とフルートとオーボエのソロが絶品の演奏をしています。提示部のフルートのソロから全合奏におけるホルンの響きが大変素晴らしい。また弦楽セクションのうまさは抜群で、あらためてこの第七の魅力を感じます。展開部においてはこの作品の特徴、同じフレーズの繰り返しが圧倒します。再現部の素晴らしい響き、ホルンの響きに続くコーダでは低弦のフレーズの連続が凄いです。終結のホルンの響きが圧倒的に素晴らしいです。感動的な演奏です。第2楽章:アレグレットは静かに始まる弦楽の主題と、続く対旋律の美しさが聴きどころです。管楽器が加わる全合奏は感動的です。ティンパニの響きも効果的です。中間部の管楽器の演奏は素晴らしいもので、ホルンが大変きれいです。コーダの木管は良い響きで終結も感動的です。第3楽章:スケルツォはプレストのリズムとトリオが交互にきますが、木管の活躍は素晴らしいものです。トリオは遅めのテンポですが、メロディが単純で、そこに対旋律が入ることで凄い音楽になっています。ホルンの活躍があります。全合奏の響きの素晴らしさは見事です。フィナーレは速いテンポで進みます。ホルンのハイトーンは大変良い響きです。この楽章はオーケストラのバランスの良さ、抜群の演奏を聞かせてくれます。弦楽の鮮やかな演奏も素晴らしいです。展開部も迫力の演奏、再現部からコーダまでの素晴らしい響き、終結はホルンが素晴らしい響きです。これは感動的な名演です。

 交響曲第8番は第1楽章の弦楽の美しい響きが聴きものです。厚みのある演奏、木管のユニゾーンもきれいです。提示部のリピートがまたきれいな演奏です。展開部から再現部の厚い響きも素晴らしいです。終結の美しい響きは見事なものです。第2楽章のスケルツァンドはメトロノームのように管楽器がリズムを刻むのが特徴です。快適なテンポで演奏しています。メリハリのある弦楽の緻密な演奏はここも素晴らしいものです。第3楽章のメヌエットは大変良い響きでファゴットやトランペットの響きもきれいです。トリオのホルンの二重奏の美しい演奏とクラリネットの響きの美しさは素晴らしいです。このメヌエットは素晴らしい演奏です。第4楽章はアレグロ・ヴィヴァーチェ、弦楽の刻みの素晴らしい響きと、勢いのある演奏が素晴らしい。オーケストラの鮮やかな演奏は見事なものです。残響の良さとアンサンブルの良さは抜群です。このハイティンクの第8番は感動的な名演奏です。
 (CD1は2013年発売の韓国盤全集、CD2は1992年発売の国内盤)


トップへ
戻る
前へ
次へ