第七交響曲

ザビーネ・マイヤー管楽アンサンブル(管楽アンサンブル版)(1989)
CD(EMI TOCE-7303)

ベートーベン/管楽器のための室内楽作品集
1.交響曲第7番イ長調Op92
     (管楽器編曲版)
2.交響曲第8番ヘ長調Op93
 (バーコンスによる管楽九重奏版)

 ザビーネ・マイヤー管楽アンサンブル
  ザビーネ・マイヤー(クラリネット)
  ライナー・ヴェーレ(クラリネット)
  ディートヘルム・ヨナス(オーボエ)
  トーマス・インダーミューレ(オーボエ)
  ブルーノ・シュナイダー(ホルン)
  クラウス・フリッシュ(ホルン)
  ゲオルク・クルッチュ(ファゴット)
  セルジオ・アッツォリーニ(ファゴット)
  クラウス・ローラー(コントラファゴット)
  録音 1989年7月31日〜8月3日

  ザビーネ・マイヤー管楽アンサンブルによるベートーベンの2つの交響曲の管楽器編曲版の演奏です。
 交響曲第7番は1816年に出版されたベートーヴェン公認の版でコントラファゴットが使われています。この作品は原曲がイ長調という華やか響きの作品ですが、管楽アンサンブルの編曲は1音低いト長調になっています。第2楽章と第4楽章も1音低くなっているのですが、第3楽章だけは原曲のヘ長調のままになっています。
 第1楽章の序奏はは管楽器のみのためやわらかな響きとなっています。提示部はオーボエが主題を吹いています。ホルンが入ると良い響きになります。提示部はリピートしています。展開部の演奏はオーケストラを彷彿させるものです。再現部は素晴らしい演奏で感動的です。コーダはファゴットがベースのフレーズを吹いて盛り上げています。ホルンも良い響きです。
 第2楽章はト短調になっています。ここは原曲は弦楽の聴きどころですが、冒頭はファゴットが重々しく歌っています。オーボエとホルンが加わって音楽の広がりが素晴らしいものになってきます。この荘重な楽章は管楽器だけでも十分聴けるものです。
 第3楽章は原曲と同じヘ長調です。オリジナルの響きは緊張感があります。トリオのクラリネットとホルンが良い響きです。後半カットがあります。
 第4楽章はト長調で管楽器の超絶技巧の連続になります。クラリネットとオーボエはヴァイオリンのパートの掛け合いになります。ホルンの二重奏は大変素晴らしい響きです。クラリネットがほとんどヴァイオリンのパートを演奏しています。よい響きです。なお、この第4楽章はかなりの短縮がありますがコーダは迫力があります。
 交響曲第8番ヘ長調はバーコンスによる管楽九重奏版による演奏です。第1楽章は冒頭から耳慣れたヘ長調の響きが流れます。またこの楽章はファゴットが活躍しますがその響きが生き生きしています。この編曲はよくできています。オリジナルの響きを大切にしていますので展開部のクラリネットとファゴットの掛け合いは感動的です。第2楽章のスケルツァンドは管楽器だけに快活で楽しさまで感じられます。オリジナル作品のように感じるほど素晴らしい響きです。第3楽章のメヌエットはクラリネットとホルンが活躍しますが、この編曲は盛大に響かせています。トリオのホルン二重奏とクラリネットの掛け合いはさすがに素晴らしい演奏です。第4楽章は弦楽の刻みを管楽器で演奏する難しさがありますが、この演奏は見事なものです。2本のホルンが盛り上げてくれます。オリジナル曲を忘れさせるほどのうまさがあります。さすがにこのアンサンブルは素晴らしい名演を繰り広げています。絶賛したいです。


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