シューマン/アダージョとアレグロ

プジェミスル・ヴォイタ(2015)
CD(Avi‐music 8553383)

ホルンとピアノのための作品集
1.ベートーヴェン/ホルン・ソナタ ヘ長調 Op17
2.シューマン/アダージョとアレグロ Op70
3.  〃   /幻想小曲集 Op73(ヴォイタ編)
4.  〃   /3つのロマンス Op94(ヴォイタ編)
5.クレーベ/ベートーヴェンの月光ソナタによる
           「変容」 Op95

  プジェミスル・ヴォイタ(ホルン)
   トビアス・コッホ(ピアノ)
   録音2015年1月

  プジェミスル・ヴォイタの新しいアルバムです。ナチュラルホルンとF管シングルとダブルホルンの3本を使っての録音です。
  ベートーヴェンのホルン・ソナタは1833年製のクルトワのナチュラルホルンを使用しての演奏です。バルブのないホルンでは自然倍音以外は手を入れて音程を変えますので詰まった音になります。ヴォイタの演奏は第1楽章の提示部のリピートで即興を入れた演奏をしています。同様にピアノでも即興を入れながらの演奏です。この演奏は面白いです。ピアノがところどころヴァリエーションになっています。展開部からもヴォイタは即興を入れながら演奏していますので、耳をはなせないです。低音がよく響いています。第2楽章は素直な演奏です。第3楽章は滑らかな演奏です。ハンドさばきも巧みです。時折即興を入れながらも素晴らしい演奏を聴かせてくれます。ピアノはグラーフのフォルテピアノを使用しています。
  シューマンの「アダージョとアレグロ」ではF管のシングル・ホルン(ダニエル・フックス)を使用しています。こちらはバルブがありますので音階がきれいに演奏できます。F管でやや不安定な音ですが、さすがにヴォイタが吹くとモダンホルンと同じように聞こえます。きれいなアダージョです。アレグロでは強く吹くと音が暴れますがそこは問題なく吹いています。逆に現代のホルンで聴くよりもオリジナルの楽器の良さを感じます。よい演奏です。ピアノはピエール・エラールのフォルテピアノを使用しています。
  シューマンの「幻想小曲集」はクラリネットとピアノのための作品ですが、チェロでも演奏されます。ホルンでもよく演奏されますがここではヴォイタ自身の編曲で演奏しています。3つの小品で構成されています。第2曲では大変親しみやすいメロディが流れます。ヴォイタはここでは現代のアレキサンダーのダブルホルンを使用しています。ピアノはピエール・エラールのフォルテピアノを使用しています。
  シューマンの「3つのロマンス」はオーボエとピアノのための作品ですが、ホルンでも演奏されることがあります。 ここではヴォイタ自身の編曲で演奏しています。3つの小品で構成されます。その名の通りロマンティックな作品です。ヴォイタはここでも現代のアレキサンダーのダブルホルンを使用しています。ピアノはピエール・エラールのフォルテピアノを使用しています。
  クレーべ(1925〜2009)の「変容」はベートーヴェンのピアノ・ソナタ第14番「月光」をアレンジしたものですが、ほとんど忠実なアレンジで第3楽章のみ自由なアレンジが加えられています。第1楽章はピアノがメインでホルンはミュートも使います。ホルンは自由なアレンジのフレーズがあります。面白いのは第2、第3楽章です。第2楽章のアレンジはホルンで演奏するのが楽しそうです。第3楽章はテンポが速いのでホルンは難しそうですがヴォイタは軽々と吹いています。途中に第1楽章の回想が入ります。ヴォイタはここでも現代のアレキサンダーのダブルホルンを使用しています。ピアノは現代のスタインウェイを使用しています。


トップへ
戻る
前へ
次へ