アントン・ライヒャのホルン作品

ホルン五重奏曲/アレッサンドロ・デナビアン(2016)
CD(Passacaille 1032)

パリ・1804/ホルン五重奏曲集
1.ケルビーニ/ホルン・ソナタ第2番ヘ長調
2.ドープラ/ホルン五重奏曲変ホ長調Op6−3
3.ケルビーニ/ホルン・ソナタ第1番ヘ長調
4.ライヒャ/ホルン五重奏曲ホ長調Op106

 アレッサンドロ・デナビアン(ナチュラルホルン)
 デルフィコ四重奏団
  マウロ・マッサ(ヴァイオリン)
  アンドレア・ヴァッサレ(ヴァイオリン)
  ジェラルド・ヴィターレ(ヴィオラ)
  ヴァレリア・ブルネリ(チェロ)
  録音 2016年8月6〜10日

 アレッサンドロ・デナビアンはイタリアのホルン奏者です。モダン・ホルンはデイル・クレヴェンジャーとレックス・マーティンに師事、ナチュラルホルンはトーマス・ミュラーに師事しました。
 ケルビーニのホルンと弦楽のためのソナタ第2番ヘ長調は弦楽四重奏による伴奏です。デナビアンは19世紀初めに製作されたクルトワのナチュラルホルンを大変巧みに操作してこの曲を演奏しています。ハンドさばきが大変うまく、閉止音も滑らかです。そのホルンが実に素晴らしい響きで完璧にこのソナタを吹いています。
 ドープラのホルン五重奏曲変ホ長調Op6−3は3つのホルン五重奏曲の3番になります。3つの楽章で構成されています。フランスのホルン奏者だったルイ=フランソワ・ドープラの作品はホルンが美しいので優雅な響きです。この演奏も完璧なホルンです。とてもナチュラルホルンとは思えない見事な演奏です。驚きました。
 ケルビーニのホルン・ソナタ第1番ヘ長調は2つのソナタの中の最初の作品。ラルゲットの短い作品です。明る響きの優雅なホルンが素晴らしい。
 アントン・ライヒャのホルン五重奏曲ホ長調は1829年にルイ=フランソワ・ドープラのためにパリで書かれ、4つの楽章で「大五重奏曲」と書かれています。30分ほどのの大曲です。第1楽章は美しい主題と技巧的な部分があります。デナビアンのナチュラルホルンは完璧な演奏で大変素晴らしい。第2楽章:レントは優しい歌が流れます。ナチュラルホルンでこれほど滑らかに吹いてくれるとは驚きです。第3楽章:メヌエットはホルンの楽しそうな歌と技巧的な部分があります。デナビアンの超絶技巧が聴かれます。第4楽章:フィナーレはアレグロ・アッサイ、ホルンの華やかな主題が朗々と歌われます。速いパッセージはナチュラルホルンでは難しいですが、そこを何の苦も無く吹いているようでびっくりです。
 また素晴らしいホルン奏者が現れました。絶賛したいアルバムです。


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