1980〜1999年の演奏

ヤンセク・カヒッゼ/トビリシ交響楽団(1999)
CD(上海声像 CD−1161) 

1.ベートーヴェン/交響曲第4番変ロ長調Op60
2.   〃    /交響曲第5番ハ短調Op67「運命」
  7:13/11:33/5:01/8:50(32分37秒)
   (第1楽章リピート:原典版)

  ヴァフタン・カヒッゼ指揮(1)
  ヤンセク・カヒッゼ指揮(2)
    トビリシ交響楽団
    1998年5月〜6月録音(1)
    1999年10月〜11月録音(2)

 グルジアのオーケストラによるベートーヴェンです。父の「運命」と息子の「第4」です。まるでクライバー父子のようです。
 交響曲第4番を演奏するヴァフタン(ヴァハタン)の指揮はオーケストラを見事に統率しており、落ち着いた重厚な響きが素晴らしい。第4楽章の演奏など思わず聞き入ってしまいます。
 ヤンセク・カヒッゼ指揮の交響曲第5番「運命」は20世紀巨匠の時代の演奏を受け継いだベートーヴェンそのものです。速いテンポの第1楽章はホルンやフルートのきれいな響きが素晴らしく、生で聴きたい演奏です。ホールの残響が素晴らしいです。展開部の管楽器の対話がきれいです。オーボエのカデンツァが癒されます。原典版による演奏で再現部のファンファーレをファゴットが吹いています。カヒーゼの演奏はテンポを変えずに一気に終わっています。
 第2楽章は演奏時間11分を超えるゆったりとしたテンポで表現力豊かに歌っています。主題をこれほど丁寧に歌う演奏は少ないでしょう。木管の四重奏がゆったりと美しい響きで歌われています。まるで別の曲を聴いているかのようです。第3楽章のテンポ運びホルンの主題と明るい響きでぐいぐい進めるところは凄いです。フーガの部分も見事でした。第4楽章はやや速いテンポで厚い響きを出しています。このフィナーレは気分爽快です。第3楽章の回帰が良い雰囲気を出しています。コーダも見事です。残響が豊かなので和音の響きがたまりません。廉価盤とはいえ内容の濃い名演奏として歴史に残る録音でしょう。


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