田園交響曲

レオニダス・カヴァコス、ヨーヨー・マ、アックス(2022)
CD(SONY SICC 30704)

ピアノ・トリオによるベートーヴェンの交響曲
1.交響曲第6番ヘ長調Op68「田園」
    (シャイ・ウォスネル編曲)
2.ピアノ三重奏曲第3番ハ短調Op1−3

  レオニダス・カヴァコス(ヴァイオリン)
  ヨーヨー・マ(チェロ)
  エマニュエル・アックス(ピアノ)
  録音 2022年5月
 タングルウッド、セイジ・オザワ・ホール

 ピアノ・トリオ版のベートーヴェンの交響曲は珍しい録音です。第6番「田園」はシャイ・ウォスネルの編曲による演奏です。
 交響曲第6番「田園」は第1楽章の冒頭はピアノに始まります。木管の部分は、ほぼピアノが演奏しています。提示部の演奏はなかなかのものです。チェロとヴァイオリンがよい響きです。提示部のリピートがあります。展開部は弦楽と木管によるフレーズの繰り返しをピアノと2つの弦楽器で演奏しています。良い響きです。この盛りあがりはまたいいものです。ピアノの響きも素晴らしいです。再現部からコーダの演奏は見事な演奏です。チェロも良い響きです。最後はゆったりと終わります。第2楽章の「小川のほとりの情景」はピアノの響きと共に、弦によって小川の流れを歌います。木管の部分はピアノが歌いますのできれいです。ファゴットの部分はチェロが演奏しています。コーダのフルート、オーボエ、クラリネットの小鳥の鳴き声の部分は3つの楽器が交互に歌いますので面白いです。素晴らしい演奏です。第3楽章のアレグロは快適なテンポの演奏です。ピアノが力強く演奏しています。オーボエの部分はピアノとヴァイオリンで、クラリネットとホルンのソロの部分はチェロが演奏しています。第4楽章の「嵐」はピアノの響きの凄い演奏が聴かれます。ティンパニの強打はピアノです。ここではヴァイオリンとチェロが力強く演奏しています。見事な演奏です。第5楽章の「嵐のあとの感謝の気持ち」は冒頭のクラリネットはチェロで、ホルンのソロはピアノで演奏しています。ヨーヨー・マの力強い演奏は素晴らしいです。そして「牧人の歌」は見事な演奏です。聴いているうちに編曲の良さと演奏の素晴らしいことに感動しました。弦の生き生きとした響きはオリジナルを思い起こさせてくれます。名演です。

 ピアノ三重奏曲第3番ハ短調は1795年の作品です。4つの楽章で構成されています。第1楽章「アレグロ・コン・ブリオ」、第2楽章「アンダンテ・カンタービレ・コン・ヴァリアツィオーニ」、第3楽章「メヌエット:クアジ・アレグロ」、第4楽章「フィナーレ:プレスティッシモ」になっています。ベートーヴェンが25歳の時に書かれました。このオリジナル作品はさすがにベートーヴェンの音楽の出来の良さを感じます。第2楽章の美しい主題がゆったりと歌われるところはきれいです。第3楽章「メヌエット」の華麗な演奏も見事です。第4楽章のフィナーレは勢いのある演奏で素晴らしい響きです。名演です。


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