1980〜1999年の演奏

ウラディミール・アシュケナージ/フィルハーモニア管弦楽団(1981)


CD1(ロンドンPOCL-9801)
 ベートーヴェン/交響曲第5番ハ短調Op67「運命」
    7:57/10:41/5:24/11:11
    (第1楽章、第4楽章リピート:原典版)
CD2(DECCA B0001057-02)
 ベートーヴェン/交響曲第5番ハ短調Op67「運命」
  7:57/10:40/5:23/11:10
    (第1楽章、第4楽章リピート:原典版)
LP(ロンドンL28C-1200)
 ベートーヴェン/交響曲第5番ハ短調Op67「運命」
   7:57/10:41/16:33
   (第1楽章、第4楽章リピート:原典版)

  ウラディミール・アシュケナージ指揮
   フィルハーモニア管弦楽団
 録音 1981年3月  キングスウェイホール

 ロシア人のアシュケナージのベートーヴェンというのもちょっと結びつかないですが、ピアノ協奏曲は何度も演奏や録音をしていますので、これはどうかと思いましたら素晴らしい演奏を聞かせてくれました。
 交響曲第5番は第1楽章冒頭からとても厚みのある音を聞かせています。デジタル録音のクリアな音はホールで聴いているかのようです。提示部からその響きの美しさはカラヤンの響きに近いものでした。フィルハーモニアのお家芸とも言えるこの曲は、ホルンのファンファーレもあのデニス・ブレイン時代を彷彿させてくれます。そのホルンは力強く、sf(スフォルツァンド)ははっきりと演奏しています。展開部も勢いがあります。再現部は弦が美しすぎて、一瞬「運命」を聴いているのを忘れてしまうほどです。それにしても素晴らしい響きの「運命」です。弦楽器と管楽器のバランスが良く、しかも管楽器のアンサンブルがじつに見事に溶け合っています。
 第2楽章も見事な演奏です。木管四重奏もきれいでした。第3楽章はホルンの主題が力強く朗々と響きます。またしてもブレインを思い出します。ただトリオのフーガだけがちょっと乗り切れてないように感じました。
 第4楽章も見事です。主題提示部後半のホルンの高らかなメロディーは圧巻です。久しぶりに第5番らしい響を聴かせてくれました。また提示部のリピートが嬉しいと思ったのはクーベリックのボストン盤以来のことでした。最後まで気を抜かずに一気に演奏しています。久しぶりに興奮させられました。
 アシュケナージがこんなにも素晴らしい演奏をしてたとは驚きました。このCDが1000円で買えるなんて嬉しいことです。


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