1960〜1979年の演奏


ハンス・クナッパーツブッシュ/ヘッセン放送交響楽団(1962)

CD1(TAHRA KKCC4234 TAH213)
 ベートーヴェン/交響曲第5番ハ短調Op67「運命」
  9:52/12:21/6:32/11:31
  (第1楽章リピート:クナッパーツブッシュ版)
 ハンス・クナッパーツブッシュ指揮
  ヘッセン放送交響楽団
    録音1962年3月20日
CD2(SEVEN SEAS KICC 2357)
 ベートーヴェン/交響曲第5番ハ短調Op67「運命」
  9:45/12:11/6:24/11:19
 (第1楽章リピート:クナッパーツブッシュ版)
 ハンス・クナッパーツブッシュ指揮
   フランクフルト放送交響楽団
    録音1962年3月1日

 フランクフルトのヘッセン放送局のオーケストラは名称の変更が何度もあり、1945年まではフランクフルト放送交響楽団、1945年から1971年まではヘッセン放送交響楽団と呼ばれていました。1971年にはフランクフルト放送交響楽団に改称され2005年まで使われて、2005年にhr交響楽団と改称されました。
 クナッパーツブッシュのCDですがCD1はヘッセン放送交響楽団で1962年3月20日の録音、CD2はフランクフルト放送交響楽団で1962年3月1日の録音となっていますが、全く同じ演奏です。マスターの違いでピッチに差があるようです。
 交響曲第5番の演奏は大変重厚そのものです。ゆったりとしたテンポで始まり、フェルマータは短いです。同じテンポで進みます。ホルンのファンファーレは鮮やかです。展開部の228小節と240小節の頭の8分音符のffが抜けています。これは近衛秀麿と同様に動機の強調のためかと考えられますが、あるべき音が無いと意表をつかれます。228小節の頭には足音が入っています。オーボエのカデンツァでは途中でスラーをとめています。再現部ではファゴットのファンファーレをホルンのみで吹いていました。コーダまでの演奏も凄いものでした。テーマの強調はしっかりとやっています。
 第2楽章はゆったりとした足取りできれいな歌になっています。全合奏は重厚なものになっています。第1変奏もきれいです。第2変奏前の管のつながりが見事でした。木管四重奏はこれもきれいです。第3変奏の8分音符は短めになっています。第4変奏のクライマックスは豊かな響きで見事でした。第5変奏のファゴットは強弱をつけていました。壮大な第2楽章です。
 第3楽章の序奏はゆったりとリタルダンドをかけています。ホルンは4本で吹いていますのでこれは目立ちます。フーガの重厚な響きは素晴らしいといえます。コーダまでの緊張感は伝わってきます。第4楽章はまた遅いテンポです。このテンポで重厚な響きを出しています。強弱の差が大きく聞く者を圧倒します。展開部ではバストロンボーンの主題が明瞭に聞こえていました。第3楽章の回帰ではオーボエがきれいに響いています。再現部も遅いテンポで乱れることなく演奏しています。コーダはプレストになってようやくテンポアップしています。それでもまだまだ遅いでしょう。重厚な和音で終わります。

 クナパーツブッシュの壮大な音楽でした。CD1では楽章間に入る会場のノイズや拍手はカットされていますが、CD2にはこれが入っています。音質ではCD1に一歩譲りますが、ライヴらしいのはCD2のほうです。録音データは1962年3月20日。


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