シャブリエのラルゲット

ヘルマン・バウマン(1985)



CD1(PHILIPS 35CD−546(416 360−2)
CD2(PHILIPS 416 380−2)
CD3(PHILIPS PHCP−9269)
CD4(DECCA UCCD−4843)

フレンチ・ホルン協奏曲集
1.グリエール/ホルン協奏曲変ロ長調Op91
2.サン=サーンス/演奏会用小品Op94
3.シャブリエ/ホルンと管弦楽のためのラルゲッ
4.デュカス/ヴィラネル(ブヤノフスキー編)
   ヘルマン・バウマン(ホルン)
   クルト・マズア指揮
   ライプツィヒ・ゲヴァントハウス管弦楽団
   録音 1985年9月9〜15日

 ヘルマン・バウマンのホルン協奏曲集です。グリエールは世界初録音になります。 
 グリエールのホルン協奏曲は1950年の作曲でヴァレリー・ポレフによって初演されました。まるでヴァイオリン協奏曲のようなホルン協奏曲と形容された難曲です。バウマンはこの超難曲を初めて録音して世に出してくれました。聞けば聞くほどどこで息継ぎしたものかなと思うほどきつい曲です。肺活量とテクニックを必要とするとんでもない曲です。バウマンは抜群の力量を見せています。第1楽章のカデンツァは大変素晴らしいものです。再現部も流暢に演奏しています。第2楽章のアンダンテは透明感のあるホルンでカンタービレを演奏しています。初めて聴いたときは感動しました。オーケストラの間奏はロシア的で美しいです。第3楽章のモデラートは序奏のあとから細かいフレーズの連続です。途中に序奏のフレーズをホルンが独奏で演奏すると後半の軽快な主題の部分になります。速いフレーズが難しいところです。バウマンはオクターブ上げて演奏していますので凄いです。名演です。
 サンサーンスの「演奏会用小品」はおなじみの曲で、ピアノ版も1982年に録音していました。バウマンのホルンは流麗です。この作品の代表的な演奏として記憶に残しておきたい名演です。第3部のアレグロ・ノン・トロッポが大変素晴らしい演奏です。
 シャブリエのラルゲットはホルンの重要なレパートリーです。雄大な響きが魅力です。バウマンのホルンで聴くとまたいいものです。奥深い響きがよく合います。
 デュカスのヴィラネルはホルンのコンクールの課題曲として作曲されたものでした。前半は自然倍音だけでヴァルブを使わずに演奏するのですが、意外とこの奏法で演奏した録音は少ないです。ナチュラルホルンの得意なバウマンはもちろん自然倍音で吹いています。後半のホルンはさすがにバウマン、素晴らしい演奏です。この曲はほとんどピアノ伴奏で録音しますが、ブヤノフスキーがオーケストレーションして録音していましたので、バウマンは親交厚いブヤノフスキーのオーケストレーションを使用しました。
(CD1は西ドイツ盤、CD2は1991年発売のドイツ盤、CD3は1996年発売の国内盤、CD4は2014年発売のDECCA国内盤SHM-CD)


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