1960〜1979年の演奏


大町陽一郎/東京フィルハーモニー交響楽団
LP(SONY SOCL-113-X)
 ベートーヴェン/交響曲第5番ハ短調Op67「運命」
   7:27/11:04/14:07
   (第1楽章リピート:原典版)

 大町陽一郎/東京フィルハーモニー交響楽団
    録音 1970年頃

 大町陽一郎はベートーヴェンの交響曲第5番「運命」を2度録音しています。これは1度目の録音でした。残念ですがこのLPも手元にはありません。
 第1楽章はとても鮮やかな響きで、しかもピリピリとした緊張感が伝わってきます。ホルンは明るい響きで、オーケストラは重厚な音がよく出ています。弦楽器のアンサンブルも見事です。展開部も実に見事です。再現部もご機嫌な演奏でした。ファンファーレはファゴットに吹かせています。またティンパニの響きが良いので聴きごたえのある演奏になっています。
 第2楽章は遅めのテンポで主題を歌っています。第1変奏では弦やフルートが美しい響きをきかせています。第2変奏では114小節からのf(フォルテ)で弦と管が16分音符のリズムをスタッカート気味に演奏していたのに驚きました。珍しいですね。第3変奏でも木管は8分音符をスタッカートしていました。よくまとめあげた楽章でした。
 第3楽章は明るい響きのホルンと弦のアンサンブルの良さが聴き所です。聞いていると引き込まれそうな魅力のある演奏です。フーガもよくまとまっています。
 フィナーレは冒頭で音の厚みが足りないようですが、提示部そのものは十分な響きで申し分ありませんでした。この当時の東フィルの水準の高さがよくわかります。展開部からコーダも大変良い演奏でした。CD化されてもいい録音ですね。 


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